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Re: 〜The stop world〜16話うp ( No.59 )
日時: 2010/06/04 18:59
名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)

【番外編 脱獄に失敗した受刑者達】

『クズどもは犬小屋に戻れぇぇぇぇぇぇ!!!!!』

山本はメガホンを手に大声で叫んだ。
田中、心一、紫苑、美保以外の脱獄者は渋々刑務所へと足を進めていた。
その中に、智が涙を浮かべながら歩いて行く姿が見えた。
「脱獄に手を貸したのに・・・・あいつら・・・・よくも・・・・・」
智は長い髪を持っていた輪ゴムで束ねると、周りを見渡した。
完全に治安部隊に包囲されているが、必ずどこかに抜け道があるはずだ。
「おい!!そこの女!!キョロキョロせずに足を進めろ!!」
治安部隊隊員が智の行動に不満を持ち、銃を構えて威嚇する。
智は再び受刑者たちの群れの中に紛れる。
刑務所のドアはもうすぐだ。その間に逃げないと・・。
無実で捕まった私は、逃げるチャンスをもらったんだ。
無駄にしたくない・・・・

無駄にしたくない・・・・・

逃げたい!!自由になりたい!!!!!


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
智は自由を求めすぎ、ついに壊れてしまう。
奇声を発しながら、ほかの受刑者たちを殴り倒しながら反対方向へと進んだ。
「私は・・・・私は・・・・・」
智の力は女性とは思えないほどの強さだった。
前へと、前へと進み、ついに受刑者たちの群れから抜け出した。
その時!!!

バン!!!!

一発の乾いた銃声音。智の腹部に直径20センチの大きな穴がポカンと開いていた。
穴からは次々に血が溢れだし、智はその場に倒れ込んだ。
「な・・・・んで・・・・・私は・・・・無実・・・・・・」
智は涙を流しながら時が止まった空に手を伸ばす。
すると、ショットガンを手に持った山本が智の目の前に現れる。
「馬鹿な女だ。」
山本は智の顔面にショットガンを突きつけた。
「い・・・や・・・・・・。や・・・め・・・・・・」

バン!!!

智の体がビクンと動き、顔面は血まみれとなり原形を留めていなかった。
山本はショットガンを腰に戻すと、智の体を治安部隊の方に蹴飛ばした。
「遺体は始末しておけ。逃げだす者は抹殺しろ。」
山本はそう言うと、再び受刑者たちの方を見る。
惨劇を見た受刑者達は逃げ出すことに脅え、1時間後には全員が牢屋に戻った。


無実の人が死ぬ_______


だから______


何?_______


山本は逃げ出した4人の顔を思い浮かべると、表情を怒りの顔へと変えた。
そして、再び田中達と山本は巡り合う事となるのだった。

国立蛭ヶ丘刑務所 脱獄者4名 再収監344名
    
看守と受刑者の総死亡者 42名