ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜The stop world〜17話うp ( No.69 )
- 日時: 2010/06/06 10:05
- 名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)
【VSブラック&ホワイト 前編】
東京 国会議事堂内 個室
茶色のデスクに椅子が3脚。熊本総理は先に入室して誰かを待っていた。
「遅い・・・・」
熊本がつぶやいた瞬間にドアが開いた。
ドアから長い白髪を後ろで束ね、見るからに冷酷そうな顔をした男が入ってくる。
更に、体つきの良い男性に小柄な少女、スポーツサングラスをかけた男も入ってくる。
熊本は4人を見るとため息をついて頭を抱える。
「まったく、君たちは時間ぐらい守ってくれ。」
「御冗談を。この世界に時間はない。」
白髪の男性が椅子に座りながら言う。
熊本はその言葉に鼻で笑うと、さっそく本題に入る。
「君らには、現在逃亡中の田中栄次郎とその仲間を殺してほしい。」
「PSIBARの連中に任せればいいでしょう?我々は面倒事に巻き込まれたくない。」
白髪の男は腕を組み、青色の眼で熊本を見つめる。
熊本は顎を触りながら悩む。
「はっきり言って、PSIBARは崩壊寸前なんだ。桐谷隊長の失態、本城の自殺、山本隊長が署長である刑務所を脱獄。」
熊本は立ち上がり、壁に両手をつけて大きなため息をついた。
見るからに疲れている様子だ。
「引き受けるのは構いませんが、我々のやり方でさせてもらいますよ。」
「殺しの方はそっちに任せる。頼むよ、イシュー君。」
イシューは頭を下げると、その部屋から出て行った。
**********
青森 地下水路 津軽海峡線関所地下
宮下、湟謎、雅焔、理子、桃子の5人はとうとう関所の下まで来ていた。
「この上が関所じゃ。上には治安部隊に運が悪ければ隊長もおる。それでも行くか?」
桃子と理子は顔を合わせ、大きく頷いた。
宮下は2人の承諾を得ると、雅焔と湟謎を見た。
「お前さんたちを先頭に、わしら3人が援護する。」
「俺はいいぞ。」
「僕も・・・湟謎と一緒なら・・・・」
2人は梯子に掴まり、マンホール目指して進む。
そして、湟謎がマンホールを開け、5人は地上へと飛び出した。
外に飛び出すと、そこは高さ20メートルという石造りの関所が現れた。
しかし、それは関所というより壁だった。
その壁の中心には大きなドアがあり、そのドアを越えれば海峡線だ。
「誰だ!!!」
5人が飛び出した瞬間、治安部隊が銃を構えて近づいてくる。
「俺は左。」
「僕は右。」
湟謎と雅焔は目を合わせると、治安部隊めがけて走り始めた。
「侵入者だ!!撃て!!撃て!!!」
治安部隊が銃を構えて湟謎と雅焔を撃とうとする。
しかし、2人の方が早かった。
10人の治安部隊を2人は身軽な身のこなしで倒して行く。
「死ね・・・」
湟謎は治安部隊の頭を鷲掴みすると、そのまま地面にたたきつけ銃を奪い取る。
「弱いね。ばいばーい。」
一方、女性というハンデを持った雅焔は治安部隊2人を足払いし、銃を奪って躊躇なく撃ち殺した。
「つよ・・・・」
遠くで見ていた理子と桃子は2人の先頭に呆気を取られる。
「わしについてこい。」
宮下は湟謎達の続けて治安部隊に突っ込んだ。
「ちょ、宮下さんあぶな・・・・」
「ほっ!!やっ!!!」
宮下は50後半の老人のはずなのに、治安部隊の1人を鳩尾だけで倒した。
「まだまだ現役じゃ。」
宮下は大笑いをしながら銃を持つ相手を倒して行く。
「何者なの・・・・あの人たち・・・・・」
理子は3人の戦う光景に言葉が出なかった。
無口な男に可愛い女性、さらには老人が平気で治安部隊を殺して行く。
「早く来い!!このドアを開けるぞ!!」
宮下、湟謎、雅焔はすでに周りにいた治安部隊を全員倒していた。
見る限り、武装した治安部隊総勢50名をたった3人が武器なしに倒した。
「よし。これで開くはずだ。」
湟謎は壁にあった装置を扱い、ドアが音を上げながら開く。
その時だった。
「危ない!!」
雅焔が近づいてくる桃子と理子の後ろに指を指す。
2人が後ろを振り向くと、そこにはホワイトとブラックが立っていた。
「困ルヨ。コンナコトシテモラウト・・・」
ブラックが日本刀を手に、桃子達に近づく。
「デモ、アンシンシテ。ラクニシテアゲル。」
ホワイトは腰から真っ白な銃を取り出すと、2人に突きつけた。
その瞬間!!!
「うらぁ!!」
素早い動きでホワイトの持つ銃を湟謎が蹴飛ばした。
ホワイトは湟謎の方を振り向くと、地面に落ちた銃を拾う。
「コイツハ・・・モラウヨ。」
「殺してくれる・・・」
湟謎とホワイトは戦闘態勢に入り、そのままどこかへと走って行った。
ブラックは残りの4人を見ると、不気味に笑い始める。
「ソレデハ始メヨウ。勝テルカナ?」
ブラックは日本刀を構え、4人を見る。
ブラックは表情や考えが仮面のせいで全く分からない。
「ここはわしらがやろう。」
「君たちは下がってなよ。」
桃子と理子の前に、雅焔と宮下が駆け付ける。
「倒してやるよ。」
雅焔はそう言うと、宮下とともにブラックに向かって走り始めた。