ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜The stop world〜21話うp ( No.84 )
- 日時: 2010/06/08 19:11
- 名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)
【第4・5の選ばれし者 紫苑と美保】
東京 国会議事堂
急遽、隊長を収集した熊本は逸早く会議室に足を踏み入れていた。
「失礼します。」
ドアが開き、最初に入ってきたのは桐谷だった。
「御苦労だ。計画が早まったからな、そのことについて話す。」
「計画・・・・?」
桐谷が首を傾げて復唱すると、後ろから殺し屋であるイシューが声をかけてきた。
「あんたが桐谷?有名なんだろ?確か、隊長の中では2番目に強いって聞いたぜ?」
「誰だお前は?」
「私が雇った殺し屋‘スワン’のリーダー、イシュー君だよ。」
桐谷は熊本の顔を見て驚き、イシューは不気味に微笑みながら桐谷の顔色を覗った。
すると、次に黒崎と山本も入ってきた。
「総理。失礼します。」
「失礼・・・します・・・・」
山本は紫色の髪を掻きながら、熊本に申し訳なさそうに頭を下げた。
「脱獄の件は申し訳ありません・・・私の過ちで・・・」
山本が恐る恐る熊本の顔を見る。
すると、熊本はイシューの方を向いて笑顔で頷く。
その瞬間だった。
「さようなら。山本氷介隊長。」
イシューは腰から刀を抜き、躊躇なく山本の心臓を背中から突き刺した。
黒崎と桐谷はイシューの行動に呆気を取られている。
イシューが刀を抜くと、切り口から血が溢れだし、山本はその場に倒れた。
「山本隊長、今まで御苦労だった。」
熊本は死に際の山本に近づくと、イシューに眼で合図する。
「ここからはクラウドがやる。」
イシューがそう言うと、ドアが開いてスポーツサングラスをかけたモデルスタイルの男性が入ってくる。
「クラウド、そいつを殺せ。」
「了解。」
クラウドは山本の首をつかむと、手袋に付いている赤いボタンを押した。
「100万ボルトだ。苦しみ、痛み、感嘆しろ。」
クラウドがそう言った次の瞬間。
「ヴァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
山本は悲鳴を上げ、100万ボルトの電撃を身体に浴びせられる。
わずか3秒程度の出来事だった。
山本は一瞬で丸焦げとなり、辺りにゴムが焼けたようなにおいが漂う。
桐谷と黒崎は目の前で虫けらのように死んだ山本を呆然と見つめる。
「これから、PSIBARの穴埋めを彼らがやる。桐谷君達も仲良く頼むよ。」
熊本は2人は優しく微笑むが、それは笑顔とは言えなかった。
桐谷と黒崎は顔を合わせ、熊本に今まで感じたことのない恐怖を感じさせられた。
**********
北海道上空
ヘリで青森を目指していた心一と紫苑、美保は田中のご機嫌さに気持ち悪さを覚えていた。
田中がご機嫌な理由は、ついさっきの出来事のせいだ。
10分前
「しかし・・・次に近い場所は茨城か・・・」
田中はため息をつきながら外を見る。
心一は田中の持っていたリストを貸してもらい、住所を確認する。
だい4・5の選ばれし者は茨木。第7・8・9はすべて関東内だ。
しかし、なぜ遠い青森を選んだのだろうか?
心一は気になり、田中に質問する。
「え?あぁ。そんなに一気に集めてたら行動しにくいだろ?だから遠いところから集めて、近場は後回しにして一気に集めようと考えてたんだ。」
田中はそう言うと、再び大きなため息をつく。
そんな田中を見ていた美保は、心一が持っていたリストを覗きこんだ。
「これが選ばし者がいる場所?」
「そうです。」
「ふ〜ん・・・ってあれ?」
美保は心一のリストを見て目を疑った。
すると、リストを心一から借り紫苑に見せる。
「紫苑!!この住所!!」
美保が操縦している紫苑に渡す。紫苑はリストを見ると、目を大きく開き驚き表情を見せる。
「ここに選ばれし者が・・・?」
「そうですけど・・・まさか知ってる人ですか!?」
「いや・・・これ俺と美保の家の住所だよ。」
落ち込んでいた田中と心一は一瞬動きが止まり、言葉を失った。
「え・・・えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
とりあえず2人は叫び、紫苑と美保の顔を何度も見る。
「ほ、本当か!?」
「あぁ。別に嘘なんかつかねえよ。」
紫苑は笑いながら心一にリストを返す。
そして、この時から田中が壊れ始めた。
現在に戻り....
「ルンルン♪」
田中は鼻歌を歌いながら外を気持ちよさそうに見ている。
心一は初めて見る田中の性格に、少し気持ち悪がっていた。
しかし、美保はそんな田中を優しい笑顔で見ていた。
「田中さん・・・さっきと態度変わったな・・・」
紫苑は田中の様変わりに気付き、若干気持ち悪がっている。
心一はそんな田中を見て、つい吹き出し笑いをしてしまう。
その時だった。
「おい!!あれ見ろ!!」
紫苑が何か見つけたらしく、下に向かって指を指す。
3人も下を見ると、海峡線を数人が徒歩で移動していた。
心一は数人の中である人物を見つけると、表情が明るくなり満面の笑みを見せた。
「桃子だ・・・理子もいる!!!!」
田中は心一の顔を見ると、心一は大きく頷いた。
紫苑は2人の言葉を聞くと、急いでヘリの高度を下げたのだった。
**********
東京 国会議事堂
山本の遺体はイシューとクラウドが運び、会議室には残りの隊長4人と草山時間管理府党首。
そして、熊本総理が席に着いた。
「では、これから‘エターナルイレブン計画’の会議を始める。
熊本の言葉とともに、会議は始まった。
そして_______
この言葉と同時に________
完結に向かう______
幕が開いた______