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Re: 〜The stop world〜23話うp ( No.90 )
日時: 2010/06/09 20:19
名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)

全てが失われようとも_______


まだ未来が残ってる_______


【東京襲撃】 第2部最終話

国会議事堂前

桐谷、黒崎、殺し屋‘スワン’のメンバー4人は自分の範囲の場所に着いた。
桐谷は世田谷区。黒崎は新宿。殺し屋‘スワン’は渋谷区。

世田谷区

桐谷は普段と変わらない閑静な住宅街の前で足を止めると、自分の行動に不満を持ち始めた。
今からやることが、正義に、平和につながるのか。
桐谷は真実を熊本の口から聞きたかったが、聞くことができずにこの日を迎えた。
「しかし、合図とは一体・・・」
桐谷は国会議事堂から出発する前に、熊本から口頭で言われただけなので詳しいことは知らない。
熊本は簡単に分かる合図と言っていた。
「・・・・お袋。必ず親父の仇を討つからな。」

**********

港区 東京タワー

最上階である特別展望台に熊本総理の姿はあった。
用意された王族が座るような玉座を設置し、足を組んで東京を見下ろす。
「鬼塚隊長。用意はできたか?」
熊本は自分の右に立つ鬼塚という男に尋ねた。
「用意は完了しており、いつでも発射可能です。どうしますか?」
「待つのは疲れた。時間が停止したときからな。」
「・・・・了解。」
鬼塚は携帯を取り出すと、どこかに電話をかけ一言‘やれ’と言う。
その瞬間だった。

ボォォォォォォォン!!!!!

国会議事堂周辺から、無差別に直径2メートルほどの小型ミサイルが大量発射する。
ミサイルは無差別に飛び交い、そのまま東京都内の地区に落下していく。
熊本はそのに子を満面の笑みで見つめる。
「ふっふっ・・・ゲームの始まりだ。東京都民・・・・いや、日本市民よ。」
熊本が立ちあがったと同時に、大量のミサイルは東京の町へ追撃を始めた。

**********

関東 上空

田中、心一、理子、桃子、湟名、雅焔、宮下、美保、紫苑が乗るヘリはついに関東に突入した。
しかし、上空から見た関東は見たことのない光景と化していた。
「な、なんだよこれ・・・・」
「嘘・・・・」
「何があったんだ・・・・」
9人は言葉も出ず、ただ下を見下ろすことしかできない。
東京のあちこちの街から炎が上がり、黒い煙が空へ向かって何本も伸びている。
さらに、国会議事堂と思われる場所から次々とミサイルが発射されていた。
「お、おい!!東京どころか茨城にも降りねえぞ!!」
紫苑が操縦しながら田中に言う。
確かに、ミサイルが飛び交う空を降りて行くのかなり難しい。
しかし、田中は笑みを浮かべて紫苑を見た。
「突っ込め。ここまで来たんだから、奇跡を信じよう。」
「ま、まじか!?」
紫苑は一度はためらったが、大声で叫びながら東京の街へと一気に高度を下げた。
全員は周りには物を掴み、衝撃に備える態勢に入る。
「どこか、降りれそうな場所はあるか!?」
「えっと・・・あそこはどうだ!?」
紫苑は操縦しながらとあるポイントを見つけた。
それは、芝公園というザ・プリンスパークタワー東京が建つ公園だ。
9人に迷っている暇はなかった。
紫苑は地面ギリギリまで高度を上げ、一般車道をヘリコプターで飛び抜ける。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
最早、繊細な操縦などすることはなかった。
そのまま公園の小さな森に突っ込む。
「俺は心一と桃子を抱えて飛び降りる!!理子は宮下さん!!雅焔さんは煌謎君。美保は・・・・」
田中は紫苑を見て口を止めた。
操縦している紫苑は飛び降りることができない。
「・・・・紫苑。」
「行け!!公園をこのまま抜けたらまた空に上がらないといけない!!」
田中は紫苑に言葉をかけようとしたが、心一と桃子を抱えて地面に飛び降りた。
次は宮下が理子と美保を駆けて飛び降りる。
最後に残った雅焔と湟名も飛び降りようとするが、湟謎が紫苑の方を振り向き操縦席に向かう。
「ちょっと、湟謎!!」
「紫苑。交代だ。お前は行け。」
「え!?」
紫苑は煌謎の言葉に驚き、一瞬動きが止まったが煌謎の方を向いて言った。
「いいから早く行け!!」
「お前は選ばれし者だろ!?ここで死んだらダメだろうが!!」
煌謎は紫苑の腹を殴り、そのまま気絶させた。
「雅焔、紫苑を抱えて飛び降りろ。お前ならできるだろ?」
煌謎が操縦席座りながら言う。しかし、雅焔は涙を流しながら首を横に振る。
「早くしろ!!俺なら・・・大丈夫だ・・・」
雅焔は泣き叫ぼうとしたが、口を瞑り紫苑を抱えて飛び降りた。

ヘリコプターに一人取り残された煌謎は、公園をそのまま抜けてしまい高度を上げる。
空には未だにミサイルが飛び交っている。
恐らく、このままだとミサイルに当たって死ぬのがオチだ。
「雅焔・・・みんな・・・・生き残れ・・・・」
煌謎はつぶやくと、国会議事堂に向けてヘリを飛ばす。
「どうせ死ぬなら、ドカンと一発やってやる。」
煌謎は高度を上げ、目の前に建つ議事堂向けて突進する。
議事堂前にバズーカ砲がいくつも設置されているのが見えたが、そちらには視線を向けない。
「俺の・・・最後の意思だ・・・」
ヘリは設置されたバズーカ砲を壊し、そのまま議事堂庭園内に入る。
中には武装した治安部隊がいるが、治安部隊は突然の出来事に呆然とヘリを見つめている。
「雅焔・・・またいつか・・・・」

そして、煌謎を乗せたヘリは国会議事堂へと突っ込んだ。
爆音、轟音が辺りに響き渡り、国会議事堂は炎に包まれヘリの姿は消えたのだった。