ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 【時々激グロ】他自殺志願 ( No.11 )
日時: 2010/05/30 00:38
名前: 笹絹 (ID: LYNWvWol)

「ほれ、座れ」
そう宮に言われ、丸椅子に腰を掛ける。首の包帯を巻き変えてくれるようだ。気が利く。

包帯をすべて取り終えたと思ったときに後ろから小さな悲鳴が上がる。うなじあたりに傷が刻まれていたようだ。それも悪趣味に十字架の模様が彫られている。それも随分鋭利に深く。
特別に驚きもせず宮は僕の首に再度包帯をぐるぐる巻きにしていく。なんか躊躇ったり労ったりしろよ・・・このアホ医師。
裕理さんは冷蔵庫にパンパンに詰め込まれた果物の中の洋梨を取り出し果物ナイフで器用に皮を剥いている。

「自分で首締めて死ぬのだけはやめろよ。俺が連れて行かれる」
「生徒を労る気持ちを持ってください先生。」
正直僕が何者かに攻撃を受けていること、自虐行為を無意識で行っていることは僕自分自身と宮保健医、裕理さんしか知らない。
こんなのを学校の七不思議なんかに登録されたらたまったもんじゃない。
そんなくだらないことを考えているうちに処理が終わったようだ。
「お前のおかげでここの包帯はもう三分の一しかない。
「おめでとうございます!」
精一杯うざったい表情をつくると宮は不機嫌そうな顔をして「っち」と舌打ちをした後に裕理さんの切った梨を一切れ口にくわえながら場を去った。


「相変わらず先生はお人好しね、あー見えても以外と気遣ってくれるし私は好きだよ?」
「裕理さんは人柄が良すぎる。無理しなくていんだから」
僕のその言葉にくすくすと笑いながらナイフを置いて瑞々しい梨の乗っかった皿を運んでくる。

佐藤先輩は寝てた。早く寝てどっかいけ。


これを食べたら帰ろう、心にそう決めて無表情にそっぽを向く梨にフォークを突き刺す。

もうすぐで──夜だ。