ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【時々激グロ】他自殺志願 ( No.12 )
- 日時: 2010/05/30 00:42
- 名前: 笹絹 (ID: LYNWvWol)
4話《4歩目の手遊び》
首が曲げられないと思ったら分厚い包帯が巻かれていた。
それも幾重にも重ねられて蒸し暑い、中がじめじめしてる。
さすがにこの時間にもなると放浪気味のサラリーマンやキャバクラやマンガ喫茶に向かう若者しか見られない。
昼中は熱気に包まれるこの空間も今では人っ子一人いない。といっても自分が音を聞いていないだけかも。まさにその場現実逃避。おおいいじゃんこれ。
耳にはイヤフォン、それに最大音量。いつ後ろから殺人者に襲われるかわからん。危険。
やること・・・?とりあえず死体の確認と猫さんたちと遊ぶこと。
死体っていうのは、2週間くらい前にある人をストーカーしてる男を刺した。で、綺麗に殺してしまった。腹にヒットしたようでぐああだのうぐぐだの喚きながらなんか死んだ。
で、パーカーにポケットの中で蠢いているのがそんな惨めな彼を刺殺した包丁。自らでも包丁なんて笑えるが、慣れない軍事ナイフなんかを使うよりはるかに実用性があると思う。刃渡りだってけっこう長いし便利っていったら便利。
で、いつもの路地に入ると鬱蒼とゴミが茂った森を抜けて後ろのドアへ手をかける。
いつも通りすさまじい死臭を漂わせながら黒い死体が寝ころんでいた。臭い・・・。自分が死ぬとこんなに臭いということを想像するとなんだか吐き気が襲ってくる。
居たくなくなってその場を離れた。
まだ手にも腐臭が・・・う・・・。
ふと足下を見ると相変わらず華奢な猫さんが僕のことを見上げていた。かわいい、頭を撫でてやるとうれしそうに目を閉じて毛づくろいを初め丸い前足をくいくいさせている。
そんなうちに他のお馴染み猫さんが集まってきていた。正直死体の確認なんかじゃなくてこっちが本命なんだけど・・・まぁいいや。
で、最近はそんなことをしている自分の後ろで何かが動く気配がある。今もそうだ。ぎゃりぎゃりとかかすれる金属音をたててほら後ろに。
「また?」
チェーンソーとか重くないのかな、それに今日は攻撃ですか。こんな夜間に。
僕も包丁を取り出す。隙がある、こんなの楽勝あと数秒で終了するはず。猫さんたちを足で別の細い路地に追いやり、チェーンソーさんを目の前においた。
これで僕が包丁を突き出せば終りょ・・・。
で、今気づいた。・・・ん?今来た、のほうが正しいかもしれない。後ろに気配を感じ振り返・・
「ごめんね、ちょっと苦しいけど君はここでお休みだ」
「・・・っ」
後ろから口を塞がれる。で、こんなに無防備なのに攻撃しないという目の前のチェーンソーさん。
自分は自分で口を塞がれるだけじゃなくて口内に指まで入れられる。そんなに喋っちゃだめですか・・・。
後ろから耳元で目の前に突っ立っている人間に聞こえないようにぶつぶつ話しかける変態男。うん。変態でいいや。
すると口の拘束が突然とかれたかと思うともう片方の手で握っていたと思われるコットン?何かが染み込んだコット・・・。
「上手くいった」
「早くしたら?」
そんな会話のあと僕の意識は途切れ、途切れ途切・・・