ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 【時々激グロ】他自殺志願 ( No.13 )
日時: 2010/05/30 00:43
名前: 笹絹 (ID: LYNWvWol)

「おはよーう早いね、慣れてんのかな?」
鼻の奥がまだすーすーする。さっきは何を吸わされたのだろうか、シンナー?未体験だしそんなの知らない。
周りは真っ白の箱の中のような部屋だった。てっきり冥界かどっかに飛ばされたのかと思ったが違ったらしい。で、目の前にさっきの変態と見られる姿があった。彼の隣には金髪の美しい少女がちょこんと腰掛けていた。
「お早うございます。で、何処ですかここ」
「俺の家、いや研究室?それよりもう効果は切れたんだね、もしかしてうちの子みたいな薬物乗常用者?」
「違います。で、いったい此処は・・・」
ぽんぽんと疑問が頭の中で生まれてくる。
そんな自分を見透かしたように僕を上から眺める変態さん。
彼が指を鳴らすと隣に人形のように座っていた女の子が立ち上がり僕に向かって一礼した。
彼はその様子を確認すると羽織った白衣を翻し僕に手招きをする。
なんだか追っかけないと恐ろしいことが起こる気がする・・・そんな憎悪感に襲われ僕は吸わされていたソファーから立ち上がった。
それにしても殺風景な部屋だ。
壁紙は模様一つ、シミ一つ無し。で、2つのソファーは真っ赤でその中央に置かれたテーブルは足までがガラスのガラステーブル。
どういうセンスなのかわからないがここの主はそんな趣味なのらしい。主はあの変態なのだろうか。
“学校”という単語に妙に引っかかったがそこはほっとくとする。

「俺は雛乃沙紀っていうから、あ一応だけど男。男だから名前だけで変な誤解しないでね。雛乃って呼んでもらえれば結構。よろしくね歩くん」
「あ、よろしくお願いします。」
女みたいな名前だ。雛乃?どっかで聞いたことのあるフレーズだったのだがそのうち説明をうけるはず。
あとさっきの“うちの子”とは何だったのだろう、気になる。
なんで僕の名前を知ってる?
・・・・・。

すでにさきほどまでの空間が見えなくなるくらいの距離まで歩いてきていた。靴音は止む気配がない。
「あの、どこまで・・・」
「あと五分くらいかな?兎に角、面白いから。きっと君なら喜べるはず」
「はぁ・・・」
この人なんなんだろう。
見た目だけだといかにも研究者って感じがするけどなんだかオーラとかが怪しいし一応今のところは正体不明。
とりあえずついていって何かあったら刺す・・・いや、どこかわからないから危険かもしれない。どうしよ・・・。

首の包帯がじめじめして湿ってきた。
蒸し暑い上にじめじめ湿るなんてなんて不幸な自分。
中身がどうなってるかなんて今までのでだいだい想像はつくが、記憶がまったく無いのでそれも当たってるかどうかなんてわかんないし。


ようやく目当ての部屋まで来たらしい。突き当たりはまだまだ先だが、主力となるところはここらしくて“研究室”と書かれた古めかしい看板が斜めになりながらも提げられていた。
中からは小さな物音がする。人がいるらしい、よかった。
雛乃が扉を外側に開けると安っぽい蛍光灯の光が僕の目を攻撃した。
「・・・面白味もないですけど」
「ここがメインのわけないでしょ、ねぇ近藤くん?」
雛乃が声をかけた先の近藤と呼ばれた男は一回肩をビクリと震わせこちらを見た。
彼は雛乃の顔色を確認しているのか目をキョロキョロさせながらポケットから一枚の寂れた鍵を取り出す。
すると奥のなんだか何かありげな扉の前へスタスタ歩いていきそこの鍵穴にそれを差し込んだ。
ガチャリという音と共にロックが解除される。なんなんだろう、わくわくと少しの嫌悪感と不安といろいろがごちゃごちゃしてく・・・。