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Re: 【時々激グロ】他自殺志願 ( No.14 )
日時: 2010/05/30 00:43
名前: 笹絹 (ID: LYNWvWol)

「ようこそ、改めて初めまして、How do you do?俺が研究主任の雛乃沙紀。君に会えて本当に光栄です。これからよろしくありがとう」
How do you do?なんていきなり聞かれたって無理無理無理

こんな光景を目の当たりにさせてなんていう返答を期待してるんだ雛乃主任。
こんな光景、それは人の“頭”が綺麗に並べられて・・・それがインテリアのような、幻想的な雰囲気を醸し出していて、まだまだ生きているようなそんなそんな・・・。
壁際にびっしりと置物のように並べられた頭達はゆうに100体を越える。ホルマリンに漬けているのかなんなのかは知らないが話しかけたら答えてくれるような表情だった。

「あの、これはいったい・・・」
「おっと、やっぱり気に入ってもらえた?うふふ、うれしー」
自分の図画工作を誉められたように顔を無邪気に綻ばせる雛乃。質問に答えろ、兎に角答えてくれ
そんな感情に感づいた彼は中央に並べられた女性の頭を僕の目の前へ持ってくる。目をしっかりと閉じて口を噤んでいる。簡単に言うと絶世の美少女、そんな感じだった。

「綺麗でしょ?これ全部俺と仲間の努力の結晶。もはや趣味じゃないよねあはは」
「剥製、ですか?人を模した」
「うふふ、ありがとうその質問を待ってたよ。そんなのはね・・・」
その瞬間に彼の白衣が少し汚れたかと思うと一瞬のうちに隣の少女の首から噴水の様にドス黒い、だけど鮮血色な血液が噴き出して・・
僕は驚くとか泣き叫ぶとか声を上げるとかそんなことは忘れてとりあえず呆気に取られていた。
みるみるうちに溜まっていく血溜まり。ようやくそのとき雛乃の顔が伺えた。笑っているけど何を考えているかわからない、誰に向けた笑顔かわからない、まぁ変態のようなそんな笑顔。
恐ろしくおぞましい、そんなオーラを放ちながら逆に親近感を持たせる。
「そりゃあ生の人間に決まってるでしょ。剥製なんて面白味のない、とにかく生が一番だよ、生。生!」
気づいたら彼の隣の血しぶき噴水はどっかに行っていて別な女の子がとなりについていた。一体何なんだろう・・・。興味をそそられるが触ってはいけない、触れてはいけない、そんな感じがした。

「・・・なんていうかすごいです」
「あ、そーお?皆怖がって逃げるんだけどやっぱり裕の通り君は別物だね!あとそろそろ寝てよ」
「寝ろなんて言われても無理なのは無理です」
血でどろどろになった手で自らの頬を撫でる雛乃。変態ってのはやっぱし変わらなかった。おかしい、こいつおかしい。
あと“ゆう”って誰だ
ん、でも眠いかも?あー、そーいやもう2時だったりするもんな、普通は寝てて眠くてうととととううとうと
「10分後までおやすみなさい!膝枕で待っててあげるから!」

僕にとって妙に心地よかったこの空間。
おかしいな、なんだか落ち着く。

最後にそんな雛乃の暢気な言葉を聞いて僕は眠りに落ちた。