ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 他自殺志願 ( No.3 )
日時: 2010/05/24 22:05
名前: 笹飴 (ID: LYNWvWol)

1話《初めの一歩》


また悪い夢を・・・。
そんなことを考えながら、布団から顔を起こすと頭を冷やすために俺は下へ向かった。
ここ最近この夢の無限ループだ。
それに数日前までは手に包丁が・・・。
そんなおぞましいこと、考えるだけでも身震いする。
至って普通の学生に神様は何の用だろうか・・・。
新鮮な朝を味わいたいのに、食パンとハムと目玉焼きのある・・・。
欠伸をしながら冷蔵庫を開けるといつも通りからっぽのペットボトルが挨拶してくれた。
ここ最近まともな食事を取っていない。
それよりも病気のように睡魔が襲ってくる。運動だのテストだの関係なく倒れ伏す。
薬を常用しても、病院に通っても激しい眠りの悪魔に誘われてふっと意識が・・・。
最近はなんだか耐えられるようになってきた。
・・・が、以前には一週間近く寝続けていたことが・・・。
でもなぜか無断で休んでも学校の教師や仲間にも突っ込まれない。
虐められてるわけじゃあなさそうだし、別にいいか・・・そんな感じで通ってる。自分自身で。自分自身。



毎回毎回心配して連絡をくれる良心的な女子生徒もいた。
彼女は杵渕裕理。
美人で評判、女子にも人気で頭もデキるという完璧かつ完璧な女。
男子には物静かなところがキュンキュンするそうだ。でも自分はよくわからん。ごめんな男子諸君。
鏡をみてアホ毛を寝させる。
・・・・まぁ無駄な努力だが・・・。

医者に常用させられているすごい量の薬を鞄に突っ込み、靴に足を引っかける。
何気なしに朝の支度を進めてくれる自分の身体に感謝しながら家を出た。




「あ、進くん!おはよう!」
爽やかな笑顔で僕に声を掛けてくれたのは裕理の親友(?)の城ヶ崎陽。陽とかいてひろみと読むそうだ。ようじゃねーの?
でもこの子は僕の思い人・・・。好きな人でもある。
可愛いしハキハキしてるし頭もいいし、でも運動ができないところがまたハートにズギューンときて、なんだかほわほわする。

横には例の彼女、裕理が微笑ましい笑顔でこちらを覗いていた。
でも僕は陽派。絶対陽。
いやいやいやいやどうでもいいんだ、自分の安否を確認しろ!
自分の安否、睡魔から逃げきるのが自分の宿命なんだから、さ。

「ねね、進くんさ、またアホ毛たってるよ」
「アホ毛はこいつのステータスだし」
横から声を発するのは自称僕の親友、原田竣が声を掛けてくる。
女子二人組が『ふふ』と声を発した。


そんなことをしながら前方を覗くとすでに学校の目の前へ迫っていた。



改めて鞄を握りしめ、薬の塊を握りしめ・・・。