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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: いつか地獄の戦場で… ( No.4 )
- 日時: 2010/06/03 17:47
- 名前: 月兎 (ID: iEydDqYB)
第一章「いつか遠い地上から」
その日は平然とやってきて、平然と終わっていく…筈だったのに。
この日から運命は廻り始めたのだと、気付くのはいつになるのだろうか…
僕の目の前に広がる血の海、地獄だった。
僕の故郷に死と爆薬を詰め込んだ黒い塊が落とされたのは8年前のことだ、まだ10才だった自分が何もかもを失い、地獄に落ちたのは…
それから初めて自分の国の仕組みをしったのだ。
遅すぎたのかもしれない、親を失い…兄妹を失ってから初めて知り、絶望した。
僕を引き取ってくれた…いや、嫌々にかくまってくれた叔母に一度言ったことが合った。
「なんで戦争をするの、なぜこの国は戦争をすることでしか平和を保てないの、なぜお母さんは死んだの、なぜ、なぜ、なぜ…?」
その頃の自分は、もう何もかも信じず壊れてしまっていた。
だから、今更なことを滔々と叔母にといたのだった。
「それが、国なんだ。平和なんてものは存在しちゃぁいないさ…地獄だよ、戦場—ここ—は」
それから叔母は何も言わなかった。
そして後で知ったのだ。
これもまた遅すぎた、叔母もまた戦争で自分の夫を失くし…さらには子供までも失っていたというのだから。
そこで、僕の人生は狂い…終わり、もうこれ以上哀しみたくないと誰とでも関わることを避けた。
なのに、どうして…君は現れたんだろう。
どうして、僕に優しく微笑みかけてくれたのだろう。
そして、新しい物語が始まるんじゃないか?と期待をした。
だが、僕の運命は最初から決まっていたのかもしれない…もう僕の目の前には…
彼女はいない—
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