ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 嘘の蒼 ( No.7 )
- 日時: 2010/06/06 14:45
- 名前: 狼華@別パソコン (ID: lwQfLpDF)
第二話 平並凡悩≪へいへいぼんのう≫下段
ついにきてしまった。
うっそうと茂る植物の数々。
草の匂いに混じり、きついの薬品の匂いがする。
だから俺はここが大嫌いだ。
普通の人間はここの匂いをを嫌がる。
普通の人間よりちょいとばかり鼻のいい俺にとってはまさに地獄。
この周辺を通るだけでくらくらと目眩がするというのにこの場所にいては俺を殺す気ではないかと嫌でも考えてしまう。
「やぁ」
突然後ろから声をかけられ驚いて振り返る。
後ろには大体30代前半くらいであろう男が立っていた。
「谷津先生・・・・」
よりによって今日の担当はこの男か?
俺が最も恐れている男。谷津窮〈やつ きゅう〉。
こいつが目の前にいるだけで吐き気がする。
薬品の匂いがどうのこうのという「小さな」問題ではない。
この男は先が読めない。何を考えているかさっぱりわからない。
「今日は私の部屋に来てくれたまえ」
「あの、KSではないんですか?」
「いいからきたまえ」
「はぁ・・・」
あぁ、もう何がなんだかよくわからない。
だからこいつは信用できないんだ。
・・・・・・・・・・・誰か助けてくれ・・・。
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とにかく唯一小奇麗なこの男の部屋。
ある意味助かったといえば助かったが・・・・。
「茶でも飲んでくつろいでくれ」
「・・・はぁ・・・」
よくわからなくなってきた。何なんだ一体。
まぁ、目の前にある紅茶だけはいい感じだ。
それになぜかいつもよりうまい。
腕を上げたな。
いや、待て。こんなこと言うな何だか俺がこいつの部屋にしょっちゅう来てるみたいじゃないか!
・・・・・・・・あれ?
何だ?少し視界がぼやけてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・まさかっ!
「どうだね新作の紅茶の味は」
「あんた・・・・・・・・。俺を騙し・・・た・・・・な・・」
いつもより何倍も何倍もいやらしい笑みを顔に貼り付けた谷津が俺の目に強く焼きついた。
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「トレーニング終了!」
やっと終わった。
一体何でこんな何時間も走り続けてなきゃないんだ。
悠一・・・・大丈夫か?
って何?俺。あいつの恋人みたいじゃん。
うっわ、超はずかしっ。
「あー。劉漸君だね?」
・・・・誰?
不思議で仕方なかった。
なんせ今話しかけてきた男は今、悠一といっしょにいるはずなのだから。
それに後ろには耀介と凛華が少しおびえた表情で立っている。
まさに異様な光景だ。
「まぁ私の部屋で茶でも飲んでくれたまえ」
・・・・・・・・・・nest store