ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人、人、人。 オリキャラ後1人募集中 ( No.34 )
- 日時: 2010/06/11 16:48
- 名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: Z1Z7gKIK)
▼Scene06 「拾い人」
「お帰り〜凄い雨やったろ? って、えぇ!?」
アジトに帰った僕に声をかけたのは仲間の乙霧。
驚いた理由は僕に抱えられた人にあるのだろう。
僕等二人ともずぶ濡れだ。
「え!? 何? 如何したん?」
「拾った」
「拾ったって……えぇ!?」
頭の良い乙霧で当たり前だが今だ状況が上手く掴めていないらしい。
口をパックリ開けてる。
僕に抱えられた其の人は、規則正しい呼吸をしているものの、意識を無くしたように眠っている。
僕は自室に入り、自分のベットに其の人を寝かせた。
其の時、乙霧が声を上げた。
「あ、コイツって『遊廓 柳』やん!」
「知ってんの?」
「知ってるもなにも、コイツ俺等の仲間やで?」
「え、僕こんな奴知らない」
そう言えば、未だ僕は殺し屋のメンバーを覚えていない。
よく共に行動する乙霧や冦鎖、匡しか覚えていない。
僕は昔から、視野が狭かった。
と、大事な事に今気付いた。
「さっきから騒がしいが、如何したんだ?」
冦鎖が騒ぎを訊き付けて、僕の部屋に顔を出す。
其の後ろには、匡や湟謎も居た。
「人を拾ったんだ」
「拾ったって……。あら、柳じゃない。仕事から帰ってきてたのね」
そう言いながら、寝ている柳の頭を優しく撫でる匡。
何時もあまり笑わない彼女からは、想像できない優しい表情をしていた。
「此の侭じゃ風邪を引くんじゃないか?」
そう言う冦鎖に僕は近くに有ったタオルを投げた。
「……え、俺に拭けと?」
「うん。頭だけでも拭いてあげて」
僕が言うと、冦鎖は渋々柳の頭や、腕を軽くタオルで拭いた。
さぁ、僕はシャワーを浴びようと、部屋から出ていこうとした瞬間、柳が呻き声を上げた。
其れと同時に、上半身を起しボサボサの頭を掻く。
「お、起きた」
僕は扉から振り返り、柳を見る。
「……あれ、何でオイラ此処に居んの? あれ、匡君に湟謎君に冦鎖君も皆居る」
「雅焔がお前を運んできたんだ」
未だ状況を掴めていない柳に、湟謎が説明をする。
其の後柳は納得したように、手と手を叩き何度も頷いていた。
「有難うー、雅焔君」
「どう致しまして。
其れより、アンタ性別は? 男なの? 女なの?」
先程からずっと気になっていたのだ。
女のように見えるが、男にも見えなくは無い。
「んー、オイラにも判らない」
「は? 自分の事じゃん」
「でも判らなものは判らないもん」
其のやり取りに、うんざり来た僕は今度こそシャワーを浴びようと部屋を移動しようとした時、湟謎が僕を引き止めた。
「雅焔、お前に客が来てる。相手してやりな」
客って誰? と訊こう思ったが、其れでは面白くないと察して言うのを止めた。
そして、僕は「判った」と手で合図しながら部屋を出た。
楽しそうに話し合う彼等を残して。
「客って誰だろ」