ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- act.4 ( No.10 )
- 日時: 2010/07/10 16:53
- 名前: 時代 (ID: 6XpHmYt9)
ひょっとしたらこれは、運命なんて面倒くさいものじゃなくて僕等が望んでこうなったのかもしれない、なんて。そんなのはある筈もないのに、何故か柄にもなくそう思ったんだ。
act.4
突如響いた銃声で目が醒めた。驚いて上半身を起こし、辺りを見回してみれば、拳銃を片手に不機嫌そうにしている千の姿。記憶が曖昧だった僕は、それで全てを思いっきり出した。……ああ、僕はあの死体を見つけた後、意識を失ったのか。
「……目ぇ、醒めたか?」
やがて唇を開いた千の問いに小さく頷くと、それまで僕の隣に彼は立ち上がると僕に向かって手を差し出した。意味が分からなかった僕は、どうやら彼の手を見て相当不思議そうな顔をしていたらしく、千は溜め息をつくと、「……そのまんまじゃ上手く立てないだろ」と言った。……ああ、そういう事か。
千の手を借りて立ち上がると、小さくお礼を言って手を話した。彼はそれには答えなかったけど、僕は何とも思わなかった。恐らくその時は、色々な事が目まぐるしく頭の中を回っていて、そんな事を考えている余裕が無かったのだろう。
そこで気が付いた。……ここは、どこだ?
例えて言うなら、いつかに見たドラマの1シーンのような場所だった。……裁判所のような所、と言った方が分かり易いだろうか。でも、ドラマで見る裁判所には必ずある筈の傍聴席や、更には裁判長が座る席……これは何というのか知らない……などが無かった。その代わりに小さなテープレコーダーが机にあり、本来犯罪者が居る場所には何もなくて、左右に長くて大きな机と椅子が、そして僕が寝かせられていたらしい長椅子があるだけだった。これだけならただの会議室だと思うに違い無いのだが、その時の僕は何故か裁判所だ、と思ったのは、これから起こる事を予測していたからなのかもしれない。
「……ああ、それが君の話していた奴かい?」
どこからか、そんな言葉が聞こえた。
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大幅に改変しすぎた。