ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 死体愛好者と正しい死に方 ( No.19 )
日時: 2010/07/04 19:33
名前: 月兎 (ID: iEydDqYB)

第五話「頭の中の少女」

—いまだに「少女」はぼくを嫌っている。
頭の中でも死ね死ねと何度も呟いてくる。
今思えば少女の顔が歪んでいく、それを見ていた僕はどんな顔をしてたのだろう。
ああ、思い出せない、『死にたい』な—


『今月の当番、資料整理および清掃…星堂・現乃』

委員会の当番表を渡されすぐさま自分の仕事を確認する。
もっとも楽といわれる仕事だが、僕は嫌いだ。
普段話さない相手と二人きりで閉め切った場所にいるというのは一種のトラウマ。
それもなおさら女だったらだ…

一瞬頭に「少女」の顔が浮かぶ。

「っ…」
吐き気におそわれ口をおさえてすぐさま消し去ろうとなんどもなんども頭で呟く。
言葉をリピートさせる…

違う違う違う違う違う違う違う!君が僕を虐めるから、何もしてないのに何もしてないのに蹴るから、殴るから、僕もやり返しただけ、それだけそれだけ…

頭の中の「少女」はほくそえんでる。

僕にはその理由がわからない、だから?

「死にたい」

またこの言葉が出てきた、すると「少女」の顔が消えて今まで耳に入ってこなかった周りの騒がしい同級生たちの声が響いた。

それに安心して、僕は机に突っ伏した。

『美月ーどした?テストの点悪かった?お前は机が大好きだなーいっつもそうやって何かあるとそうやってるし』

これは僕の知らない誰かの言葉。

もしくは忘れてしまった誰かの言葉。