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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死体愛好者と正しい死に方 ( No.43 )
- 日時: 2010/07/27 09:50
- 名前: 月兎 (ID: QuEgfe7r)
第十話「僕と」
—みーくんは貴方が思っているほど優しくもないし、真面目な人間ではありません。
貴方には全てを話しました。でも、僕の心までは話すことはありませんでした。
話してしまうと、貴方が離れていってしまいそうで怖いから。貴方が…壊れてしまいそうで恐ろしいから—
「なんで、みーくんなんて…そんな呼び方、」
突然だったとは思う。
僕もこんな質問、こんな状況でいきなりされたら言葉が出てこないだろう。
でも、彼女はゆっくりとではあったがすぐに口を開いた。
「朝日が、そうよんでたから…みーくんのこと。」
それは思いもよらなかった。
朝日は、僕のことをみーくんなんて呼んでいない。
よんでいたのは出会ってから3週間程の間だけだから、彼女が知っていたとしても、朝日が美月と僕のことを呼び始めてからは…絶対にない。
それに、朝日は…朝日が彼女に。
現乃 帝に話しかけることなんてなかった。
「そんな」
「そんなはず…」
僕が言葉を発した後も彼女は黙ったままで、口を閉じれば沈黙が訪れた。
「朝日は…」
「朝日は君のことが、現乃のことが…」
朝日は人気者で誰にでも好かれて、話しかけることが出来る奴だった。
でも、一人だけ絶対に自分から話しかけようとしない人物がいた。
それは、いじめられてるやつでもなくて、喧嘩している奴でもなくて…
好きな人だったんだ。
朝日は恋愛感情が少しおかしかった。
好きになってしまうと本当にその人の話しかしなくて、壊れた程にいつもいつも名前をよんでいた。
朝日は過去に重い傷をおった。
だからきっと「愛」というものにゆがんだ感情をだいたんだ。
彼女のためなら死んでもいい、と彼女のためなら…
そう言ってた。
だから—
「好きだったのに」
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