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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死体愛好者と正しい死に方 ( No.56 )
- 日時: 2010/07/31 19:05
- 名前: 月兎 (ID: QuEgfe7r)
第十二話「あの日」
—伝えたかった、でも伝えられなかった。
彼は知りたかったのだろうか、僕の全てを…
僕は彼の全てを知りたくて、共有したかった。
罪を、哀しみを、二人で—
あの日は、ウザったいほどに明るくて澄んだ、青空だったのを覚えてる。
クラスの皆で朝日に書いた手紙に僕は書いたんだ。
『朝日が死んだその日は朝日の大好きな青空で、なぜか朝日のために青く染まったみたいだった』
書き出しが見つからなくて、パニックになっててそんな『いいお天気ですね』とかぶせたような言葉を書いてしまったのを朝日と一緒に燃えてしまったその後に後悔した。
いつもと同じように始まって、終わる。
平和に今日も終わる、そう信じて僕はいつもと同じように過ごした…朝日が僕の前から消えてしまったその時まで。
どうして、もっと朝日と話さなかったんだろう。
どうして、もっと、もっと笑わなかったんだろう。
どうして、もっと、もっと、もっと特別に過ごさなかったんだろう…
「はよー、美月」
彼は知っていたのに、自分の最期を。
なのにいつもと同じ挨拶をしていつもと同じようにクラスの輪に入っていった。
「おはよう、朝日」
僕も同じようにかえして、また机に突っ伏した。
朝日に依存なんかしない、朝日は親友だけど、遠い人物だから。
だから少し溝を感じてた。
でも依存なんかしてるならそれは友達でもないよ、うん、僕はそう思います。
「なぁ、ちょっといいか」
僕は昼休みの時間に、まだ皆が弁当を食べてるそんな時間に朝日に呼ばれて…
言われたんだ。あの言葉を…
あの時は嬉しかったけど、今思い返せば後悔しかない。
今後悔しても意味ないけれど。
しかもあの時にとめてたら僕と朝日との溝は深くなったに違いない。
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