ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 4 ホットケーキと紅茶と愛情 ( No.7 )
- 日時: 2010/06/23 16:54
- 名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: SG7XrUxP)
——ここ、魔物の出ない魔界?
庭はなぜか真っ黒、遊び用具は泥で汚れている。花壇はあるのに、花の姿が見えない。そして、六時前くらいなもんだからオレンジ色の空なのだ。それが、なんとなく怖い。
サデュラさんって、こんなところもあるのか。
「近々、一週間後くらいからかしら? ここが子供たちと遊ぶ場所になったのよ」
本の読み聞かせや、体を動かして遊ぶゲーム、自分たちでお菓子、紅茶を作ってお茶会。に合う場所。それがサデュラさんの家。いや、確かに庭は広いんだけど、さ。
この人はいつになったら危機感を覚えるのだろう。一週間までにこの汚れを落とすと言うのに。
とりあえず、私は肩までの栗色の髪を、いつも持っている髪留めで髪を纏める。
そして、バンダナとエプロンを借りて掃除開始。
まずは、雑草抜きからだろうな。
私は、真っ黒の庭からヒョコンと顔を出している雑草を根っこから取る。
サデュラさんの方を見ると、のん気に鼻歌をしてお菓子を作っている。
……そんな暇あるなら、庭、掃除しようよ。サデュラさん。
まあ、何かあるんだと思うけれど。
私は相変わらず、雑草抜きと言う地味な作業を続けている。かれこれ三十分。こんなに長い時間雑草抜きをしたことはない。
んで、最後の一本を思い切り抜いた時、
「メイちゃん、そろそろ疲れたんじゃないかしら、休憩、していいわよ」
にっこりと嘘の無い笑顔。この人のいい所はそれだ。
私は返事をして、庭から靴を脱いでサデュラさんの居る家の中に入る。
すると、紅茶の良い匂いと出来立てのホットケーキの良い匂いが混ざる。やはり良い匂い。
白いテーブルに、二人分のホットケーキと綺麗な宝石のような赤い紅茶が乗っている。
そして、そんな美味そうなホットケーキの上にはバターが乗っている。ごめん、私、メープルシロップ派だよ? サデュラさん。
だが、やはりサデュラさんのホットケーキはシロップだろうがバターだろうが美味しいので口の中に何回も放る。その内にホットケーキが全て無くなってしまった。ので紅茶を飲む。
そんな私を見て、サデュラさんはにこにこと笑っている。相変わらず、何を考えてるか分からない顔だ。こう見えて大人だ。きっちり怒ったりする。らしい。私は見たことも無いけど。
「メイちゃん、何か隠してる?」
ほら、来た。何かあると思ったのはこの感覚か。更に勘がいいから「チケット貰ったし」と私が言ったから不審に思ったんだろう。だって、人ゴミ嫌いだもん。
何でもいいんだけど、にこにこ笑われてそんなこと訊かれたら、怖すぎる。