ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 5 優しい笑顔と似ている一面 ( No.8 )
- 日時: 2010/06/23 20:05
- 名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: SG7XrUxP)
それはあたたかい紅茶のように。優しい笑顔で。
目の前には、サデュラさんの明るくも怖い笑顔。それと、少し透きとおっている赤茶色の紅茶。
数分後、私はさきほどの出来事を全て話して、サデュラさんのリアクションを待っていた。
「……似てる、わねぇ。メイちゃん。私と」
似てる? 笑顔が素敵で誰にも優しく気配りのできるサデュラさんと、私が、似てる?
私が頭の中に疑問を浮かべていると、またサデュラさんが優しい笑顔をして言う。いや、いつも笑顔なのだけれど。
「ふふふ、何でって思ってるんでしょ? 正直、今の話聞いて少し苛立ったわ。「これあげる」だなんて、ただの言い訳じゃないの。自分が上に立ったとでも思ってるのかしら」
あの時、私が思ったことと同じこと。初めて知った、サデュラさんのこんな一面。
うーん、深い。無愛想な私は言い訳が嫌い。サデュラさんは無愛想ではないけど言い訳が嫌い。変な共通点だよ、全く。
「まあ、純情少年は悪気無いから仕方ないけれど、それをどう思うかは人の個性だから気にしない。それに、混乱して謝ることができない時もよくあるわよ?」
サデュラさんは、紅茶を飲んで、紅茶のカップを持ち上げたままで言う。そして、いつもの優しい笑顔。
ああ、相談して良かったと思う。だてに歳食ってない、大人だな、この人。大人ぶって、冷静ぶっている私とは大違い。いや、別に意識しているわけでもないけど。
二日後、ちゃんと謝ろう。人ゴミは嫌いだけど、頑張ろう。
と、心の中で呟いて、紅茶を飲み干す。
「あと、雑草抜きありがとうね、そろそろ帰ったら?」
「はい。じゃあ明日の昼頃に来ますね。そう言えば、花壇に飾る花、考えといてください。あと、明日の朝に水、撒いといてくれますか」
私が言ったあとに、サデュラさんが「分かったわ」とお得意の笑顔で言う。
サデュラさんに話して、二日後が楽しみになった気がする。