ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━Solitary killer━オリキャラ募集 ( No.11 )
- 日時: 2010/06/17 18:32
- 名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)
【出会い】
時は戻り 2010年 夏
この日の東京の温度は、最高35度と今年初の高気温となった。
16歳になった灰些は、夏用学生服を着て登校中だった。
「灰些。今日めっちゃ暑くない?」
「そう?」
灰些の隣を並んで歩く水川玲奈は、短い髪を風靡かせミニスカートでパタパタと足を扇ぐ。
灰些は玲奈のその姿を見ると、ため息をついて表情を曇らせる。
「やめろよ。見っとも無い。」
「灰些どんな体温してんの?35度なんて熱寸前の温度だよ。」
灰些は玲奈の顔を見ると、再びため息をついた。
玲奈と会ったのは両親が殺害されて1週間後だった。
‘国立桃山孤児院’という施設に入れられ、その場で最初にできた友達は玲奈だった。
玲奈は施設の中でも人懐っこく、悲しい過去を背負った灰些を明るくさせた人物でもある。
灰些にとって、玲奈は大事な親友なのだ。
今は・・・あれだが・・・・
2人は高校1年生。施設の近くにある南学園という高校に通っている。
2人は門を抜け、ほかに登校している生徒の群衆の中に入り込んだ。
唯でさえ暑いのに、この人ごみは避けたいものだった。
「やばいわ・・・暑すぎる・・・・」
玲奈は灰些の顔を見ると、その場にバタリと倒れ込んだ。
灰些は驚き、周りにいた生徒も唖然とした表情で見ていた。
原因は熱中症だろう。
灰些は玲奈を抱っこすると、そのまま保健室へと向かった。
─────
桃山孤児院と隣接する建物 ネメシス・ティシフォネ
孤児院の隣に建つ9階建ての建物。
屋上には大きく
『あなたの命、保証します』
という看板が置かれていた。しかし、この会社はその反対だった。
世間ではただの保険会社。しかし、裏の世界では殺し屋が集う会社。
その名も、暗殺専門店‘ネメシス・ティシフォネ’。
名前の由来は復讐神という神の名前からとったもの。
会社の最上階9階では、社長である山中仙次郎が窓から南学園を見下ろしていた。
学園のグラウンドに、灰些が玲奈を抱えて保健室に向かっている様子が伺える。
「失礼します。」
社長室の扉が開き、金髪にピアス、首には骸骨のアクセサリーをつけた男性が入ってくる。
山中は振り向くと、男性の顔を見て作り笑いをする。
「やあ!!青葉君、仕事はどうだね?」
「今日は1人殺しました。ノルマは後3人です。」
青葉洋介の言葉に、山中は2階頷く。
「その調子で頼むよ。それで、君を呼んだのは・・」
「灰些君の殺し屋初任務の手助けだ。」
山中の言葉に、青葉は最初驚きを表情を見せる。
「手助けなんてできません!!殺し屋の法律を破ってしまう!!」
「今回は許す。彼はまだ若い。その若さ故に、殺し屋世界では有名になっているんだ。」
山中の言葉に、青葉は口を瞑らせ言葉を失う。
「頼むよ。君と彼は入社当時から仲が良いだろう?それも含めて頼んでいるのだ。」
「・・・・分かりました。」
青葉は一礼をすると、渋々了解をした。
山中は安堵の息を漏らすと、青葉に茶封筒を渡す。
「君と灰些君の任務資料だ。彼が高校から帰ってきた後、すぐに任務についてくれ。」
「分かりました。」
青葉はもう一度礼をすると、社長室を後にした。