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Re: ━Solitary killer━オリキャラ募集 ( No.12 )
日時: 2010/06/17 21:36
名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)

【初任務 前編】

高校は終わり、一人で下校する灰些。
玲奈は結局先に施設に帰ったのだ。重度の熱中症らしい。
一人で施設に戻る灰些は、夕日で染まった空を見ながら足を進めた。

「ベンジャミン。」

灰些は突然の声に驚き足を止めた。
目の前には殺し屋の先輩である青葉洋介が立っていた。
ベンジャミンとは灰些のコードネームだ。任務時は常にコードネームで呼び合っている。
「青葉さん・・・あっ、ブラックさん。」
「任務だ。明日は土曜で学校もないだろ?この2日で任務を終わらせるぞ。」
灰些は‘任務’という言葉に顔を笑顔に変えた。
殺し屋になって初の任務だ。興奮と嬉しさが込み上げてくる。
「どんな任務ですか?」
「簡単な任務だ。ターゲットは2人。双子の詐欺師だ。」
「双子・・・ですか・・・」
青葉は歩き始め、灰些も隣に並んで歩きながら説明を聞く。
「あぁ。普通の詐欺師とは違い、刃物使いでもある。十分気をつけろ。それ以外は別にない。」
青葉は任務資料を灰些に渡す。
灰些は資料をある程度見ると、青葉の顔に目を移す。
「いつ出発ですか?」
「今日の夜12時。服装は整えろよ。後、誰にも気づかれないように会社前だ。」
「分かりました。」
灰些は一礼すると、施設へと戻って行った。

_________


時間が経つのはあっという間だ。時計の針は12時を指そうとしていた。
灰些は黒いロングコートに赤外線搭載で暗いところも見えるサングラスをかける。
殺し屋の仕事専用服だ。灰些は誰にも気づかれずに施設を抜け出すと、隣接する会社前に着いた。

「来たな。」

会社前には青葉と2歳年上の先輩である白銅流沙がいた。
流沙は灰些と同じでロングコートを着ていた。青葉は夕方出会ったときと同じ服装である。
「こんばんわ。今日は同行させてもらうわ。」
「っていうか・・・これ殺し屋の法律に反してませんか?」
灰些が2人に質問すると、青葉が首を横に振った。
「今回は社長に許可をもらって3人1組で行動することになっている。それじゃあ行くぞ。」
青葉は会社の前に止まってある黒いバンに乗り込む。
流沙と灰些も続けて乗り込む。
青葉は2人が乗り込んだことを確認すると、車を発進させた。


「相手はビルで金融関係の会社を経営している。ここから数キロ離れているが問題はない。」
青葉は淡々と説明をしながら運転をする。
「恐らく、相手はこちら側が来ること知らないだろうし、襲撃すれば簡単に終わる。」
「楽ですね。私も同行して良かったのですか?」
流沙は笑いながら青葉に言った。
「ストーム、お前は社長が保険をかけておけと言われて同行させたんだ。」
「保険?フフッ、保険会社らしい場面もあるんですね。」
流沙は不気味に笑い、一瞬灰些の方を向く。
灰些も大体は流沙の噂を聞いていた。

─多重人格者─

流沙の裏の人格は、今の穏やかな性格が正反対。
見たことはないが、噂では相当なものらしい。
灰些はそんな流沙を見ると鳥肌がたってしまう。
3人はその後も任務についての話をしながら、目的へと目指したのだった。