ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━Solitary killer━オリキャラ募集 ( No.16 )
- 日時: 2010/06/18 18:17
- 名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)
【初任務 後編】
青葉、灰些、流沙を乗せた黒いバンは、東京ビル群の中を走行中であった。
辺りはすっかり夜となり、街をネオンが彩っている。空に輝く星がちっぽけに見えた。
灰些は目的地に着く前に疲れ果ててしまっていた。
ただでさえ乗り物酔いが激しいのに、バンに乗って早2時間。まだ着かないのか?
「着いたぞ。」
運転する青葉は、前方を指で指しながら2人に言う。
2人が指さした方向を見ると、4階建てのブラウン色のビルが建っていた。
3階がターゲットのいる会社らしい。電気はまだついている。
「降りたらすぐに向かい、迅速且つ冷静に行動しろ。」
青葉は会社の目の前に車を止める。3人は車から降りると、武器を確かめた。
灰些はいつも使うイニシャル入りの特注ナイフを手に取る。
流沙は黒い手袋を両手に着けると、右手に搭載されていた赤い小さなボタンを押す。
すると、手袋に電流が流れ始めた。
流沙の‘スタンガンハンド’は敵を掴んだだけで気絶させる代物だ。ちなみに1万ボルト。
青葉は2人と違い、武器も何も持たずに白い手袋だけをつけた。
一流の殺し屋である青葉は、珍しく武器を使わない先方である。
3人は目を合わせると、会社に向かって走り始めた。
─────
会社内
金融会社を経営する双子の詐欺師、田中門司と庄司は2人で黙々と仕事をしていた。
「次の目標見つかったか?」
「70前半のババア。こいつなら詐欺できるぜ。しかも、かなり金持ってやがる。」
兄である門司は不気味な笑みを浮かべ、ボサボサの髪を掻きあげた。
弟の庄司は詐欺の目標となった人物の資料を手に取り、会社の玄関を開ける。
その時!!
「うらあ!!」
ドアが開いたと同時に、青葉が回転蹴りをしながらドアごと庄司を吹き飛ばした。
「ぎゃあ!!」
庄司はデスクや資料が積まれた棚に突っ込み、そのまま動くなる。
門司は腰から2本のナイフを取り出し、3人を呆然と見つめた。
「な、何者だ!?」
「ネメシス・ティシフォネだ。お前らを抹殺する。」
青葉の言葉に、門司は顔の色を変えた。
犯罪者の大半はネメシス・ティシフォネが暗殺専門店ということを知っている。
「俺らも目がつけられたのか・・・・」
灰些はこれから激しい戦いになると感じた。
が・・・それはあくまで考えだった。
「ひゃっはぁぁぁぁ!!!!!!」
青葉と灰些を飛び越え、流沙が門司を上から襲いかかった。
「なっ!?」
門司はナイフを構えるが、それは無駄な抵抗と同じだった。
流沙は門司を床にたたきつけ、そのまま首を掴む。
「あばよ。この私、縛波に殺されたことを幸運に思え。」
流沙の闇の部分、縛破はスタンガンハンドのスイッチを入れた。
「あ、ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
門司の体に1万ボルトの電撃が流れ、わずか10秒ほどで黒こげとなった。
「さすがだな。縛破。」
「なめるな。さて、帰ろう。」
縛破はそう言うと、足早に金融会社を出て行った。
灰些は出る幕もなく、青葉の顔を見る。
「ま、いいんじゃないか。」
青葉はそれだけを言う。
灰些は何もできなかった自分に悔み、止むを得なく車に戻ったのだった。