ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ━Solitary killer━ ( No.17 )
日時: 2010/06/19 11:58
名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)

【失地悠】

初任務を終えた翌日

灰些は任務の報酬を受け取るため、日曜日の朝一に施設から出た。
ネメシス・ティシフォネは隣接して建っているため、歩いて数秒で着いた。
「おはよう。昨日の初任務どうだった?」
会社の玄関には、マイペースで毒舌家の東雲続が立っている。
灰些は先輩である続に頭を下げながら疑問を抱く。
普段、滅多に会社に来ない先輩がなぜ朝早くここに?

「失地悠が来てんだよ。」

「え!?」

灰些はある人物の名前を聞いて驚愕する。
失地悠とは、関東最強の殺し屋であるのだ。その有名な殺し屋がこの会社に来ている。
見てみたい・・・
まだ高校1年生の灰些は、好奇心に駆られ会社の中へと足早に入る。

エントランスにはすでに数名の殺し屋が集まり、一番前には社長である山中が立っていた。
一番後ろにいた青葉は振り向き、灰些がいることに気付くと歩み寄ってくる。
「灰些。おはよう。もう聞いただろ?」
「は、はい。でも、なんで有名な失地悠先輩がここに?」

「遠征任務を組む為だ。」

「え、遠征任務?」

灰些は首を傾げながら青葉に聞き返す。
「関西にある悪い組織を殺す任務だ。たぶん、行くとなると1週間は戻れない。」
灰些は「1週間」という言葉を聞いて悟った。
「それなら・・・・」
「お前はまだ高校生だし学校もある。それは愚か、遠征メンバーに入っていないはずだ。」
灰些はそう言われ、悲しい顔をする。
しかし、無理もなかった。
たった一回の初任務を成功させただけ。しかも、成功したのは先輩である流沙と青葉のおかげだ。
「今日はとりあえず、一旦施設に戻れ。」
「分かりました。」
灰些は青葉に一礼すると、渋々施設へと戻って行った。

─────

灰些が帰ったと同時に、青葉たちの目の前に失地悠が現れた。
失地は背中に‘鷹’が描かれたコートを着用し、左目には眼帯をしていた。
「みなさん、こんにちは。失地悠です。」
失地は34歳のわりに若い声で淡々としゃべる。
「今日は遠征メンバーを組む為にこの会社に足を運びました。まあ、ある程度はこちらで勝手に決めました。」
失地はそう言うと、ズボンのポケットから一枚の紙を取り出す。
「じゃあ・・メンバーを発表します・・・・」

──────

関西 大阪

活気溢れる大阪の街中に、一棟の10階建ての建物が建っていた。
‘機械企業 関西鳴山コーポレーション’と呼ばれるこの大企業は日本で5本指に入る企業だ。
そんな企業が、今回殺し屋の目標に入ったのだ。
理由は簡単。この企業は犯罪を犯しているから。
その犯罪とは________




殺し屋殺し────