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Re: ━Solitary killer━8話うp ( No.21 )
日時: 2010/06/20 13:27
名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)

【裏切り者】

機械企業 関西鳴山コーポレーション

最上階の10階社長室に、鳴山和弘が外を見ながら立っていた。
ドアが開き、秘書の雰囲気を漂わせる女性が入っってくる。
眼鏡をかけ全身灰色のスーツに身を纏った女性は、見るからに厳しそうである。
「社長、彼から電話です。」
「繋げ。」
鳴山はオールバックの髪を整えながら振り向き、デスクの上にある電話を手に取る。
『私だ。こっちには着いたか?』
『あぁ。人数は全員で10名。今そっちに向かってるが、襲撃時だけは気をつけろ。』
『分かった。ここに来たら、お前は騒動に紛れて例の場所へ行け。そこで落ち合おう。』

ガチャ

鳴山は電話を置くと、青く快晴な空を見上げた。
「殺し屋は・・・全員殺すのだ・・・・」
鳴山は振り向き、秘書に声をかけた。
「彼はもうすぐここに来る。‘機将’を数人呼んでおけ。」
「それには心配及びません。すでに2人、この会社に滞在中です。」
鳴山はその言葉を聞くと不気味な笑みを浮かべる。

事は案外スムーズに進んでいる・・・

10人か・・・彼を抜いて9人・・・・・


全員殺す_______


───────


大阪 上空


会社の権力を借り、殺し屋10人を乗せたヘリは目的地へと向かっていた。
辺りは日が沈みかけ、空はぼんやりだが暗くなっている。
「目的地に着くころには完全に夜だ。鳴山コーポレーションという会社の屋上に降り立つ。」
「そんなやり方、お前らしくないな。」
失地の隣に座る、黒いマスクをした若い男性が言う。
「谷黒、この方法が一番最適なんだよ。」
失地悠の知り合いであり、殺し屋である谷黒駿は鼻で笑いながら失地の顔を見た。
「とりあえず、屋上に降り立った後は2人1組で行動。社長、副社長を殺したらすぐにヘリに戻れ。」
「10人もいるのか?」
青葉の質問に失地は頷く。
「今回の任務、あの広い会社は大勢で行った方効率が良いからね。」
青葉は失地に笑顔で言われ、何か言い返そうとしたが言えず仕舞いだった。
灰些は隣に座る流沙を見ると、流沙は目を細めて失地を見つめている。
「どうしたんですか?」
「いや・・・ちょっとね・・・・」
灰些が流沙の目を見ると、微かだが笑っているような気がした。

「灰些。もし、私に何かあったらこれ・・・」

流沙は突然小声でしゃべり、灰些に一枚の手紙を渡した。
灰些は意味が分からず、流沙の顔を見た。
「ど、どうしたんですか?」
「この任務、やっぱりおかしいのよ。」
流沙はそう言うと、灰些の顔を見る。
「・・・両親殺した犯人、見つかるといいね。」
流沙は笑顔で灰些に言った。

そして、これが灰些の見る流沙の最後の笑顔になるのだった。