ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━Solitary killer━9話うp ( No.25 )
- 日時: 2010/06/21 18:19
- 名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)
【八機将の力】
大阪に来て1日目の夜を迎えた。
失地悠率いる10名の殺し屋を乗せたヘリは、目的地の鳴山コーポレーションを目前としていた。
「俺と組んでる流沙さん、谷黒と組んでる青葉さんはヘリに残り、後は会社を散策してください。」
「了解。」
ヘリは特注で作られているため、羽音がまったくせず静かに会社屋上へと着地した。
作戦通り、6人がヘリから降りると、すぐさま会社内部につながるドアを開け駆けこんでいく。
すると、灰些が足を止めて振り返る。
ヘリの中から悲しそうな顔をして流沙がこちらを向いていた。
「流沙先輩・・・・」
灰些は何か不安な気持ちになり、それでも会社内部に駆け込んで行った。
─────
ヘリに残された失地、流沙、青葉、谷黒は静かに時が過ぎるのを待っていた。
この4人はベテラン殺し屋のため、緊急時のために待機しているのだ。
「・・・谷黒。俺はちょっと様子見てくる。」
「は?」
失地はそう言いながら立ち上がり、ヘリから出ていく。
「お、おい!!」
「やっぱ・・・あの子連れてくべきじゃなかったわ・・・・」
失地はそう言うと、ドアへと向かおうとした。
その時だった。
「俺も行く。心配なのは一緒だ。」
青葉が立ち上がり失地に駆け寄る。
失地は谷黒を見ると、谷黒は頷く。2人は先に入った6人を追いかけていく。
そんな中、流沙は失地を見ながらあることを考えていた。
「ねえ。谷黒は失地の行動がおかしいと思わないの?」
「ん?奴はいつもそうだよ。作戦を決めてもいつも無視する。まあ、そういうところがあいつだ。」
谷黒は笑っているようだが、口にマスクをしているために分からない。
谷黒は流沙の表情を見て首を傾げる。
「そんなに心配なら、俺が見てこようか?」
「いや!!それなら私が・・・・」
「お前、まだ18歳だろ?ここに残れ。」
谷黒はそう言うと、席を立ってヘリから出る。
「もし何かあったら、携帯で俺を呼べ。」
流沙は一応4歳年上である先輩に反論できず、そのまま谷黒は会社内部へと入って行った。
─────
一人残された流沙は、ヘリの中でみんなの帰りを待っていた。
敵も来るはずないのに、なぜか武器であるスタンガン式手袋を装着する。
何かおかしい・・・・
任務が始まってから感じる謎の空気。
その時、ヘリの外から微かだが物音が聞こえた。
「・・・誰だ?」
流沙は立ち上がり、いつでも戦える体勢入る。ゆっくりとヘリの外へ出た。
しかし、辺りには貯水タンク2つに電波塔しかない。
隠れる場所など・・・・
「はっ!!!」
「おっ!よく気付きましたね〜ぇ」
流沙はヘリの上を見た。
ヘリの上には見知らぬ若い男性が平然と座っている。
「何者だ?」
「僕?簡単に言えばこの会社のセキリュティかな?」
青年は腰に2本の刀をつけている。
殺し屋か?
流沙は後ろに下がり、青年に攻撃する体勢に入る。
その瞬間だった。
グサッ
「え?」
後ろに下がった瞬間、流沙の体に4本の刀が突き刺さり貫通した。
「敵は一人ではない。殺し屋ならば、常に周りにも気を配ることだ。」
後ろから聞こえる低い声。流沙は振り返ることもできずにその場に倒れた。
急所は外れている。だが、出血の量は完全に致死量を超えている。
「はぁはぁ・・・・」
「若造がここに来るのは早かったな。」
「殺すんすか?」
青年はヘリの上から飛び降り、血まみれで4本の刀が突き刺さった状態で倒れる流沙に駆け寄る。
「無論だ。侵入者を排除、それがセキリュティの任務だ。」
「だ・・・れ・・だ・・・・・」
流沙は必死の力を使い、上を見上げる。
目の前には年配と思われる男性が立っているが、月夜の光で顔だけが見えない。
「我は八機将の一人、影暗一朗。お前を殺した殺し屋の名だ。覚えておけ。」
「影・・・暗一朗・・・・」
流沙が影の名前を復唱した。
その直後_______
流沙の心臓に刀が突き刺さった_____