ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ━Solitary killer━オリキャラ募集 ( No.7 )
日時: 2010/06/17 17:29
名前: 律零 (ID: EWcIN/Ij)

【殺人】

雨が降る中、一台の車が東京県警の地下駐車場に止まった。
「降りろ。着いたぞ。」
城山は助手席に座る少年に声をかける。少年は有無を言わずに車から降りた。
「名前はなんて言うんだ?」
「本城・・・灰些・・・・」
「ばいさ君。大丈夫か?何があったんだ?」
灰些は城山に聞かれると、先ほどのことを思い出す。


「ただいまーー!!」
その日もいつもと同じで、灰些は元気よく幼稚園から帰ってきた。
普段は母が笑顔で迎えてくるはずなのに、家の中は不気味なほど静まり返っている。
灰些は靴を脱ぎ、リビングに走る。だが、誰もいない。
「ママ・・・?帰ってきたよ!!・・・え?」
灰些がキッチンに向かうと、腹部にナイフが刺さった母が倒れていた。

「ママ!!」

灰些は急いで駆け付け、母の肩を揺らす。
しかし、母はすでに心肺停止状態で死亡していた。

「誰だ!?」

灰些が後ろを振り向くと、黒いフードをかぶった謎の男性が立っていた。
男性の顔は見上げている灰些からでは見えない。
だが、明らかに動揺している。
「子供だと!?リストに載っていないぞ!!」
男性は胸ポケットから一枚の紙を取り出し、大慌てで何かを確かめている。
すると、紙を手から落とした。

「じ、住所を間違えた・・・・やばい・・・・」

男性は紙を拾うと灰些の方を見た。
「す、すまない!!わ、わざとじゃないんだ・・・」
男性はそれだけを言うと、すぐ様玄関の方へ走って行った。
灰些は男性の言葉の意味が分からず、ドアが閉まる音で我に返った。

「ば・・・いさ・・・・」

灰些は聞きなれた声に周りを見渡す。
立ち上がり、玄関の方へ向かった。
すると、そこには父親が腹部にナイフが突き刺さった状態で倒れていた。

「パパ!?」

灰些は突然の状況を受け入れることができず、その場にしゃがみ込む。
その時だった。

「本城さん。ちょっといいかし・・・き、きゃああああ!!!!!!」

ドアが勝手に開き、近所の主婦が入ってくる。
主婦は灰些の父親が血まみれで倒れているのを発見すると悲鳴を上げる。
「ば、灰些ちゃん!!救急車!!救急車!!」
主婦は家から飛び出し、大声を上げながらどこかへ走り去った。
そして、救急車が来たのはそれから1時間後だった。

━━━━━━

現在

城山は車に凭れかかったまま、灰些の話を聞き終える。
灰些はため息をつくと、一滴の涙をこぼした。
「・・・・つらかったろう。今日はここに泊まっていけ。」
「犯人・・・絶対捕まえてよね・・・」
灰些は城山にそう言うと、トボトボと歩いて行った。
城山は灰些の寂しい背中を見ると、涙を流して後を追った。