ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

序章 1/2 ( No.1 )
日時: 2010/06/16 20:55
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

    序章*私とナニカ



 いつもと同じ喧騒。いつもと同じ甲高い笑い声。いつもと同じ不愉快な気持ち。いつもと同じ膨れ上がる嫌悪感。
 きゃははと気持ち悪い笑い声が教室内を満たしている中で、私はただぼうっと黒板を見据えていた。

 ——授業中だってのに。

 今は国語の授業中。先生がうるさいということが影響したのか、いつもは静かなはずの一組はとても騒がしかった。
 国語の時間って、こんなにテンション上がるものか? なんでこんなにもつまんない授業内容なのに、笑ってられるの?
 無駄なことをいって教室内をわかせるうざい男子も不愉快だけど、私にとっては大声で笑う女子達のほうが不愉快だった。
 なんで先生は怒らないんだ。こんなに騒いだら他のクラスに迷惑がかかるだろうに。

 ——なんて心の中で憤っても、どうせ何も変わらない。

 いつも、そう。変わることの無い、『いつも』。二次元に飛び込んでいけたらいいなぁ、なんてもうずっと考えてる。
 二次元は、とても綺麗だと思う。誰かの妄想から作られたとしても、その世界はこんな現実よりも濁ってないもの。
 まぁ、そんなことも私の妄想なわけだけど。それでも一応、私はそう思っている。

「……もうやだ」

 そうやって小さく呟いてみても、何も変わらない。全ては、いつもどおり。
 いつもどおりに授業を受けて、いつもどおりに憂鬱な気分になって、いつもどおりに泣きたくなって。
 多分私は、友人は少ないほうではないと思う。多いともいえないが、それなりにみんなとは喋れるつもりだ。
 といってもクラス替えで多くの友人と離れてしまい、正直いってこのクラスの中では孤立しているかもしれない。
 友人がいるが、親友はいない。心から信じられる友人なんていない。いつもどこかで、私は友人のことを疑っている。
 それが、わたしという一つの存在だった。

 別に独りでも平気だと自分に言い聞かせるくせに、孤立しているとどうしても哀しくなって泣きたくなる。
 こんな自分が嫌で、積もっていく自己嫌悪。せめて、同じ班の人が違う人だったのならここまでにはなっていないと思う。

 白岩さつき。違う小学校だった人で、第一印象は『大人しすぎる人』だった。
 それは間違っていなかったようで、かなり大人しい。全然話し合いでも喋らなくて、かなりうざかったりする。
 そのくせ慣れた人とはめちゃくちゃ元気良く喋るという、私と結構似ていて——けれど私の苦手なタイプだった。
 そして、長井春。こいつとは同じ小学校だったのだが、元から大嫌いだった。
 なんだかうるさいギャルっぽい感じで、いつもふざけている。掃除時間なんて黒板掃除以外しない。
 しかもなぜか白岩と長井が仲良くなってしまい、いつも二人で喋っている。
 もう一人いるのだが、生憎全く喋らない男子だ。国語の授業での話し合いの時なんて、白岩と長井が関係ないことを喋ってるだけだ。

 なんで、よりにもよってこんなやつらと同じ班になってしまったのだろう。
 そのせいで、余計に世界が憂鬱に思えてくる。ああ、嫌だなぁ。これからこの班で二ヶ月かぁ。

 もういっそ、死んでしまいたい。私がそう考えるのも、珍しいことでは無くなった。

序章 2/2 ( No.2 )
日時: 2010/06/16 20:54
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

 もし私が、この班の現状を先生に訴えたとして。一体なにが、変わるだろう?
 大人なんて、くだらない。ただ『子供よりも強い』という権力じみたモノを振りかざしているだけだ。
 なにも、信じない。なにも、信じれない。

 あぁ、いつまでこんな日々が続くのだろう。

 なにもかもが、嫌になる。そして私はいつもと同じように嘆いて、……でも、何も変わらない。
 死んでしまおうか。親にも愛されていると感じたことの無い私には、そう考えることは容易かった。

 幼い頃から繰り返されてきた、『ソレ』。別に虐待などというわけではない。
 そんなものよりずっと優しくて、……けれどそれほどに残酷すぎる『ソレ』。
 いってしまえば、『放置』だった。母と父は、土日にいつもいなくなる。
 土曜日の朝起きると、いつも二人はいなくなっていた。ただ、それだけ。それだけの、ささいなこと。
 祖母と祖父がいつも来てくれるから、食事には困らなかった。

 けれどそれが幼い頃からずっと休みなく繰り返されていく中で、……あぁ私は両親にとって邪魔な存在なのかな、と思うようになってしまったのだ。

 愛されているかいないのかなんて、知らない。欲しいモノは買ってくれるし、参観日には来てくれるし。
 『愛されている』って断言できそうだけれど、私には到底断言できそうにない。
 幼い頃から繰り返されてきた行為が、無意識のうちに親に対しての敵意を生んでしまったのだろうか。

 とにかく、早く終われと。授業が、早く終われと。私はひたすら、それだけを思う。


**


 先生が会議があるとかで、今日は部活が休みだった。部活は結構楽しみにしていたのだが、仕方ない。
 明日にはまた部活もあるし。そんなことも含めたくだらないことを考えながら、私は帰り道を歩いていた。
 学校から十分もかからない、凄く近い距離。けれど友人達とは全く逆の方向だった。だから必然的に、いつも一人になる。
 一人になると、いつも考える。

 いつもと同じように。

 いつもどおりに。

 何も変わらない、日常の通りに。


 あぁ、『私の価値』ってなんだろう、と。


 価値なんてあるの? 答えはノー。あるわけがない。それでも心のどこかで、訴え続けるナニカがいる。
 そのナニカは、親に愛されていないわけがない、友人達も自分のことを好いてくれてるじゃないか、と言う。
 なにを、ふざけたことを。私はいつも自分で自分を嘲笑して、そのナニカを押さえつけるのだった。




          序章 end.







題名変更いたしまする。多々あると思いますので、ご了承ください<(_ _)>
説明文多いwww ……序章の伝えたかったことがはっきりしない。駄目駄目ですね!