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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デスゲーム ( No.1 )
- 日時: 2010/07/10 16:39
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第1話
目が覚めた男は、違和感を感じた
寒さに身を縮めながら床を見る。
どうして俺はコンクリートの上で寝ているのだろうか。
ここは……?
立ち上がり辺りを見渡した彼の目に、あちらこちらに眠っている男女の姿が飛び込んできた。若い者が多く、数えてみたところ20人はいる。男も含めて全員灰色で地味な服装だ。
夢……か?
そうでなければおかしいこの風景。
だが違う。こんなハッキリしているはずはない。思わず頬をつねったが痛みが顔を貫く。夢ではない。これは現実だ。
コンクリートで囲まれた正方形の部屋。広さは20人がゆうに入れるほどの大きさだ。どこにも窓が ないため、朝なのか夜なのか全く分からない。部屋の隅に、見るからに重そうな、鉄でできた扉がある。
何故俺はここにいるのだろう?
男がそう思った時、彼のすぐそばで寝ていた女が目を覚ました。それを機に寝ていた人々は次々に体を起こしていく。彼らはゆっくりと部屋を見回すと、不安そうな顔をしながら、ここはどこだと、口々に言う。
「あの、東条……柊斗さんですか?」
男の下から声がした。彼は下を向くと、可愛らしい顔立ちの女が男の顔を覗き込んでいた。東条……。なんで俺のことを東条と?
「“とうじょうしゅうと“、って読むんですよね。胸にあるプレートに書いてありますよ」
プレート?男が胸を見ると、黒いプレートの上に確かにそう書いてあった。その横には“22”と書いてある。年齢のことか?
……ちょっと待てよ。東条柊斗が俺の名前?
男は頭の中で必死に探したが何も出てこない。
この時、彼は自分の記憶が全く無いという事に初めて気づいた。
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