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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デスゲーム ( No.20 )
- 日時: 2010/07/18 15:22
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第9話
どこだ?どこだ?出口はどこだ?
建物の2階へ来ていた霧崎は、偶然発見した地図を頼りに屋上への階段付近にいた。しかし記憶力がいいとは言えない彼であるため、こうして迷っているのだ。
霧崎は右へ左へグルグル回っていた。勘でしかないが。
そうやっているうちに地図にあったような道を見つけた。ここを右に曲がってまっすぐ行き、左に曲がれば……!確か出口なはずだ。
我を忘れて霧崎は、自分の記憶を頼りに走った。この左にあるはずだ。彼は心の中で祈りながら思い切って覗いてみた。その数十m先に階段があった。さらにその上にはガラスでできた分厚そうなドアがある。その横には電光タイマーがあり、12分と記されている。
すっげー俺っ!
やったぁぁ。出られる!
そう思い一歩踏み出したとき、後ろで断末魔の叫び声が聞こえた。振り返ると若い女が鬼に詰め寄られていた。後ろは壁。逃げ道はない。
「助けてぇぇ!誰かぁぁぁぁ!」
女は自分を見て言ったように、霧崎は思えた。そんな中でも鬼はジワリジワリと女の方へ歩み寄る。
しかし霧崎はそんな光景を無視し、クルリと背を向けた。
「誰がもう少しで出られるっていうのにリスクを冒してまでお前を助けるんだよ。馬鹿じゃねえの。そこで一人で死んどけ」
彼はそう言い捨てるとドアへ向かって走り出した。その途中ぐしゃという鈍い音が聞こえたが、まるで聞こえていないというように走り続けた。階段を上がりドアの前に立つと、自然にドアが開いた。
「よっしゃ」
これだけ呟くと、ドアの中へ入って行った。
霧崎龍太郎は残り十分というところで、第1ステージをクリアした。
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