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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: DEATH GAME ( No.29 )
- 日時: 2010/07/27 14:33
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第10話
「ぎゃああああぁぁぁぁ!!!」
「うわあ!」
遠くの方で女の叫び声が聞こえた千帆と翔は、思わず情けない声を上げてしまった。
「また鬼に殺されたのか?」
これで5回目だ。いや、もっとあったか?とにかく彼らの命も危ないということだ。まず柊斗に会わなければ。
「地図によるともう少しでニ階に着くはずよ」
「ということは、あとちょっとだ。慎重に行くぞ」
「うん」
しばらく歩くと前方に階段があった。これで二階にいける。そうしたら、出口は近い。二人は顔を見合わせて頷くと走り出した。
階段を半分まで上ったその時だった。翔が後ろを向くと、あいつが追ってくるのが見えた。
「鬼だっ!逃げるぞ!」
急いで階段を上ると、角を右へ左へ曲がった。鬼を混乱させるためだ。そのせいもあったのか、鬼は獲物を見失ったようだ。なんとか振りきった。
安堵のため息も束の間、前方に黒い影が現れた。あの冷酷な顔は、鬼だ。慌てて来た道を戻る千帆と翔。しかしそこにも鬼が。そいつの腹には、なにかえぐられたような痕がある。
挟まれた!
そこは一本道のため出口は完全に鬼に塞がれている。つまり、二人の命運は尽きたということだ。
「お、鬼が二体いたなんて聞いてねえぞ」
今そんなことを言ったってしょうがない。これは命を懸けたデスゲームなのだから。
そんな中でも鬼はじりじり二人に歩み寄って来た。
そして息を合わせたように同じタイミングで空高く警棒を振り上げる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
その時だった。
大きな鈍い音があたりに響き渡ったと思うと、腹に傷がある鬼がゆっくりと倒れていった。二人がその光景を見ると後ろに誰かがいる。よく見なれた顔だった。
「待たせたなぁ」
千帆と翔の顔が輝く。
そこにいたのは、離れ離れになっていた柊斗であった。
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