ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デスゲーム ( No.3 )
- 日時: 2010/07/11 16:29
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第3話
「な、何が始まるんだ!?」
翔を始め、次々と驚きの声が沸き起こった。皆心配な顔をしているのが人目で分かった。
やがて音楽はクライマックスを迎え、フルートの音で終わった。静寂が部屋全体を包み込む。しかしそれは嵐の前の静けさでしかなかった。
『みなさんこんにちは。これから“デスゲーム”を始めます』
部屋中に無機質な女性の声が響き渡った。まるで、感情のないロボットのようだ。何だ何だとざわつく室内を無視するかの様に“声”は話を続けていく。
『ルールは簡単、5つのステージをクリアすればゲームクリアすなわちこのゲームから出られます。しかし不正行為をした人は罰を与えるので注意しておいてください。何か質問はありませんか?』
あまりに事が進みすぎて一体何が起きているのか分らなかった柊斗だったが、部屋の真ん中にいるヒゲ面の男の声で我に返った。
「ふざけんじゃねえぞ、意味がわかんねえ!こんなんやめてやるぜ」
そう声を張り上げ、この部屋に一つしかない鉄の扉の前までつかつかと歩み寄った。すると、いきなりタックルをし始めた。もちろんビクともしない。
『今すぐ扉から離れてください。これは命令です』
またあの“声”が聞こえたが、男は止めようとしない。そればかりか“声”に逆らうようにさらに力を強めた。髭に覆われた顔は醜く歪んでいる。
『あなたは不正行為をしました。これから罰を与えます』
「は?」
次の瞬間雷鳴のような音が響き渡った。それと同時に男の体が重力に逆らったように吹っ飛んでいった。音のした天井を見た柊斗は目を見張った。黒い塊が天井から顔を覗かせている。おそらくあれはライフル。男はボロ雑巾のような姿になっており、床には血だまりがカーペットのように広がっている。
そこら中から叫び声が上がった。しかし“声”はまるでそれが聞こえていないようにこう続けた。
「第1ステージは……かくれんぼ」