ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: DEATH GAME 参照200突破!! ( No.37 )
日時: 2010/08/09 16:53
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第14話

 誰も渡る奴なんていない。死への恐怖で足の裏と床が貼りついたように動けない。いや、自分の意思で動かないのか。
 もうすぐ3分が経つ、その時だった。

「うおぉぉぉ!行ってやる!行けばいいんだろぉ!」

 振り返ると、30代くらいの男が立ち上がっていた。すると、何故か周りにいる人達も立ち上がり始めている。
 立ち上がった人はスタート地点まで行く。そして勇気を振り絞って橋へと一歩踏み出した。

「おおっ!」

 あちこちで歓声が上がった。その声に押されるような形で次々と橋を渡って行く。短い列のようなものができた。

「みんなで行けば恐くないってか……」

 翔がため息混じりに呟いた。

「まあいつまでもこうしちゃいられないな。俺達も行こう」
「おう」

 彼らは列の真ん中に並んだ。先から翔、千帆、柊斗の順に並んだ。
 前を見ると、バランスを取りながら慎重に先を進む男たちの姿が見える。いや、女も一人いる。ここからでも彼らの真剣さが伝わってくる。
 やがて翔に順番が回ってきた。たっぷり前との間をあけると、両手を横に広げてバランスをとるようにして前へ進んだ。
 次は千帆。
 進む前に柊斗へ振り返った。必死に涙を堪えているようだった。一回力強く頷くと翔と同じようなを取りながら進んでいった。
 柊斗は先にあるものに恐怖を感じていた。これだけで終わるはずがない。第1ステージも鬼がいた。だとするとこの第2ステージも何かの仕掛けがあるはずだ。気をつけなければ。
 そう思い、彼も渡り始めた。一歩一歩ゆっくり。


 彼の予想は的中していた。
 しかしそれは予想よりも大きなものだとは知る由もなかった。