ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デスゲーム ( No.4 )
- 日時: 2010/07/11 16:46
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第4話
かくれんぼだと?ふざけてんのか?
“声”は確かにそう言った。声自体は変わっていないのだが、この時は何故か冷たく聞こえた。
ふと気がつくと千帆が自分の腕をつかんでいるのに気づいた。その手はまるでそこだけ震度7の地震が起こってるかのように激しく震えていた。顔は青ざめている。
翔の口は小さく動き、呪文のように何か言葉を発している。よく見てみると「死んだ、死んだ…」と狂ったように繰り返し呟いていた。よほど大きなショックだったのだろう。
しかし柊斗は疑問を感じた。人が一人死んだというのに何故これほどにも冷静になれるのだろう。彼は背筋が冷たくなるのを感じた。俺は何なんだ……俺らは誰なんだ……
『ルールは簡単です。この部屋に隣接している建物の中でかくれんぼをしてもらいます。その建物の屋上を目指して元気いっぱい走ってください。ただしかくれんぼなので鬼が徘徊しているのを忘れないでください。制限時間は30分。では頑張ってください』
おびえる声も気にせずに、“声”がルールを説明した。死ぬのを見るなんて慣れていると言っているようだ。
すると部屋の隅にある重そうな扉が、耳を塞ぎたくなるような嫌な音を立ててゆっくりと開いていった。中からは眩しい光が輝いている。
突然後ろから、ピ、ピ、ピ、と規則的に音が鳴り始めた。振り返るといつからあったのかタイマーのような物があり、[29,55]と書かれている。それは、ピ、と音がするたびに一つずつ数を減らしていく。制限時間を表しているのか。
なんにしろゲームが始まったようだ。
最初に動き出したのはさっき翔に声を荒げた霧崎という男だった。普通に死体を踏みつけて行った。なんて冷酷な奴だと柊斗は思った。それから、彼に続いて次々と部屋を出て行った。制限された時間まで刻々と迫っている。決意を固めた柊斗はまだ残っていた千帆と翔に向ってこう言った。
「行こう。ここにいても何も始まらない」
「うん行こう」
3人の決意は固まった。
彼らは何が待っているか分らない”デスゲーム”の世界へと足を踏み入れたのであった。