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Episode2  死体安置所 ( No.17 )
日時: 2010/06/22 18:02
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

「う゛〜……ん……?」

……酷く寒い。
そして暗い。
裸にされ金属の板の上に寝かされ何処かにしまわれている気分だ。
足を軽くバタつかせると足元の金属板がズレ、
私の居る暗闇を蛍光灯の光が照らす。
それと同時に、驚きに満ちた悲鳴が箱から出てきた私を迎える。

「…さぶいな」

「あ……あ………?」

ここの管理人だろう。丁度いい、ここは…

「何処?」

「何処 !?え !?こ…ここは死体安置所よ、何で !?何で生きてるの…?」

「死体…安置所…?」

したいあんちじょ?
したいあんちじょって、死体安置所のこと?
私は…死んだのか?
様々な感情が脳の奥からこみ上げてくる。
それを必死に抑え、私は管理人に服をもらうと直ぐに外に出た。
幸い、駅の近くだったらしい、
周辺地図で今居る所を確認すると、チャガラ区となっている。
チャガラ区?聞いた事が無いな、相当遠くなのだろうか?
その考えの直後、驚く物が目に飛び込んできた。
駅のホームが見える。しかし、驚いたのはそこではない、近くの看板だ。
開国4000年祭…確か、私の生年月日は2010年のはず。
そこから1990年も経っている !?
人間の寿命では生きる事など不可能な年月だ!
悪い夢だ!覚めろ!
……待てよ、私が死んだのは何時だ?何で死んだ?
確か…何かが原因で…喧嘩から発展して、
その後教室をガソリンで吹っ飛ばして近くのビルを火の海にしてから屋上で一騎打ち、
その後私自身が、私の方が私のトラップでビルから落ちたんだっけ?
もう、何年も昔の事なのか…
夕暮れにからすの鳴き声が周囲を包む。
巣に帰るカラスがこの日最後の食事に、
必死になって鳴いているセミを探し喰らう。
そんな光景が酷く懐かしく思えてきた。

「ねえ君、これからおじさんたちといい所行かないか?」

……ナンパだ。3人もいるよ…。
何で人間はこういうところは進歩しないのやら。
そんな気分ではないし、普通は付いて行かないだろう、
私はそのクソオヤジ共の内の1人に蹴りをお見舞いしてやった。
すると、不思議な事にその馬鹿の体は軽々と吹っ飛び、背後で光っていたネオンに直撃し、
ネオンは粉微塵になってしまった。
後の2人は恐れをなしたように私から離れていってしまった。
孤独だ。酷く孤独だが、今はどうしようもない。
4000年の未来だ、過去に戻る事くらいできる科学技術になっているだろう。
しかし、金が無い。
そんな中、また誰かが話しかけてきた。
そいつが歩くたび、鈴の音が周囲に響く。

「貴方は…生き返った人間だそうですね?」

「私?ええ、おかげ様でよく分かんないけど生き返ったみたいね」

「俺と来てもらう」