ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode3 ここに存る理由 ( No.21 )
- 日時: 2010/06/23 16:39
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
「一緒に行くって…何処に?」
完全に警戒するべきだ。
フードを目深に被り、首から鈴を提げ、
私があの場所から出てものの10分足らずで私の事を知り、
探していたのだから!
「何でも良い、俺はお前を組織に連れて行く任務がある。腕をもごうが足をもごうが、生きてさえ居ればいい。大人しく俺に付いて来るか、半殺しにされて引きずられるのが良いか選べ。5秒以内だ」
こいつ……ヤバイ!
今の今まで鳴いていたカラスがこの近辺に1羽たりとも居ない!
惰弱で相手にされない様なセミですら沈黙するこの存在感!
この男……危険だ!
「…3…」
取り合えず構える。
私の脳はついさっきまで戦闘だったかのような緊張状態にある!
ウォーミングアップなど不要だ、
一気に片をつける!
「1…0…。お前を壊して持って帰る」
「出来るものならね」
そんな2人の周囲には、喧嘩を見に来たのであろう野次馬が集まってきている。
「良いぞ!ネェチャン!」
「殺せー!!」
セミと言う惰弱な存在以上に人間と言うのは無知な存在らしい。
この男は、恐らく人間ではない。
私のように蘇ったのか、人間の進化系か、はたまた魔物か。
そんなことなど今は考える時ではない、
この男を、私に危害を加えるであろう存在を駆逐するだけだ!
「解体を…始めようか!」
奴は地面を蹴り、私へと直線的に突っ込んでくる、
そこをあえて後ろへ引かず、私は前へ出る!
奴の拳を避け、奴の立っていた直ぐ後ろ、
私の蹴り飛ばした馬鹿の割ったネオンのチューブを手に取る!
思った通り、チューブにLEDを詰めているタイプだ。
それを鞭のように操り、音速は出ているであろうチューブの先端を、奴の背中に叩きつける!
「う゛ッ!何するんだよ、いてぇじゃねえか」
フードが取れ、素顔が——…。
こいつ、仮面をしてる!何か意味でもあるのか?
次の攻撃に移っていた直後、
バチィッ!という音が私の目の前で放たれた。
手にスタンガンを持っている…?いや、手から放電している!
電気であるという証拠に、私の持っているチューブの中の電球が音に合わせ点滅している!
「君…何者 !? 」
「ただの暗殺会社の社員だ」
「まるで超人ね!」
地を蹴り、一気に間合いを詰め、
一撃で決めるつもりで鞭もといチューブを奴に叩きつける!
……やったか?……ダメだ、あの馬鹿早い攻撃を、
チューブを…受け止めてる!
「お前の身体能力も超人的だな。悪いが壊すぞ。生き返ってここに居る理由を探していたのだろうが、俺達にはお前のような蘇生者が必要なんだ」
私の腕を奴が掴む!
そして、そこで私の1回意識が途切れる。
ただ、途切れる前に誰かが私の肩を支えた事だけは覚えている。
生き返ったわけか、考えてみよう。
だけど、死んでしまったんだ。考えるのはあの世でするよ。