ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode7 亡者の憂鬱 ( No.27 )
- 日時: 2010/06/27 17:42
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
この学校には、ペーパーテストと言うものが存在しないらしい。
後期の試験は実技テストのみだった。
流は膨大な魔力の所為で、学校トップの成績を収めたが、
なんだかあっけない。
多分サタンからの変な課題が来るのではないかとまで思ったが、
1週間経った今でもまったく無い。
この学校で私は理事長の娘と言う事になっているらしい、
周囲の目線がそういっているし、何よりこの学校の経営者があのサタンと言う男だ。
私は今あの何をしているのかよく分からない。会社に住んでいるが、
今までに一度たりとも魔法系犯罪もみ消しの依頼が来た覚えがまったく無い。
「あのさ、この学校どうなってるの?ナオト」
ナオトと言うのは私のクラスメイトで、私の1個前の席の私の実技と同じくらい肉体強化魔術では凄いらしい生徒だ。
「この学校がどうって?日常がこれだ、人間は常に死ぬし、保健室は常に満員、それで居て常に気を張っていないと生徒狩りを楽しむ上級生に殺られる」
まあ、こんな学校だと言う事がこの1ヶ月でよく分かった。
21世紀では有り得ない教育方針だ、親は怒らないのだろうか?
「そういえばさ、私が何でこの学校来たかって知ってたっけ?知らなかったら教えるけど」
「聞いてないよ、何で?ボクは一応風紀委員長だからね、把握しておかないといけない」
「ああ、そういう設定だっけ?」
「設定ではない、役職だ」
「ああ、ソーリー」
—————ほぼ同時刻、時の横断幕社長室—————
「社長、正体不明のエージェントが再び出現しました」
イスに座って黙々と書類に目を通していくサタンに部下が報告に来た。
かなり急用らしい。この会社の社長室は最上階でガラス張り、
そして、198階に位置していて、エレベーターで昇るにしてもエレベーターはこれだけ階があれば何処かに何度も止まるため、階段の方が早いのだ。
「そうか、どの様な者だ?」
謎のエージェント、スタンガン・パニック。
最近出現したかなりの凄腕魔法使いで、電撃を得意としている。
電撃のレベルは、
「奴は電撃を使用し、威力は周囲の電線を工事無しでは復旧は不可能なまでにショートさせられるレベルです」
周囲を吹き飛ばす。
「そうか、ご苦労。お前は休め、この会社に明日来たらその日が命日になるぞ」
「畏まりました」
社長室から部下が出たとたん、イスに座っていたサタンは煙のように消えた。
—————クレハ戦闘魔法魔術第6学院—————
「へー、君は死んでいるのか。今の状態は言ってみれば亡者の憂鬱って所か?」
「そう言うこと。お話はここまででお終いにしようよ、生徒狩りの連中が私に用があるらしい」
流の目線の先には、教室を埋め尽くすほどの死体と、
生徒狩りの上級生10人以上が武器を持って構えていた。
「その様だね。殺しは嫌いだが風紀を守るためだ、仕方ない」