ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode15  後の祭り     ( No.44 )
日時: 2010/07/06 12:16
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

フィオとリバーシが校舎を打ち崩して10分後、
本社ビルの奪還を終えたサタンが飛んできた。
校舎を見たサタンは半呆れ顔で、
2人を『後でビルに来い』と念を押し倒れている2人を保健室へと連れて行き治療を始めた。

「今死んでもらっては困る、我が学園に必要な人材なのだからな」

治療が終るまで、流は外のイスに座っていたが、
途中で凄まじい睡魔に襲われ半強制的に眠りについてしまった。
今思うと、これもサタンが何かやっていたのかもしれない。

治療が終わり、サタンが保健室から出て来た。
その手は、黒く光り輝いている、
何か悪い物を吸収したかのようだ。

「フム、流は起す必要は無さそうだな」

そういいながら、自らの両手を引きちぎり、
近くにあったゴミ箱に投げ捨てると、
窓をまるで水の膜を通り抜けるかのように通り抜け、
窓から外へ出ると、お馴染みの翼で会社へと飛び立った。
そのまま音速飛行で数秒、会社の屋上兼社長室へ辿り着くと社内放送で2人を呼び出し、ビバ説教タイム。
凄まじいお説教の予感を振り切れぬ2人が、
ドアをノックして入ってきた。

「さて、何故呼ばれたか分かるか?」

「校舎壊したから?」

「うーむ、それもあるが、もっと重大な事だ」

「重大な…事、ですか?」

「リバーシ、私が君に任務を与えた時、…一つだけ注意すべき事を説明したな。何だった?」

リバーシはしばらく考え込み、
恐らく答えだろうと思う言葉を選び、サタンに告げる。

「他人に僕の正体を悟られない事、ですか?」

「そうだ、それだ。まあ、今回は大目に見よう、次は無いことを願うぞ。フィオ、お前もだ、力はあれだけ抑えろといったはずだが…、あの説教の倍の時間説教を喰らいたいか?」

「えっと…ヤダ」

なんとも子供っぽい…、これが世界規模の超巨大会社の社員なのだから、
世の中は分からない事だらけだ。

「ならば、次から使う力は私の許可が無い限り校舎を破壊した時の1/10にすることだ」

「はーい」

その言葉を最後に、サタンは机から靄のように消え、
その後その日の内にサタンを見たものは1人として居なかった。




ほぼ同時刻、保健室前




「う゛…寝てた…みたいね」

その言葉と同時に再び眠りについてしまった。
既に生き返って1ヶ月半、殆ど寝ずに図書室の本で時空間移動に関する書物を読み漁っていたのだ、
疲労が蓄積されていたのだろう。

「セミの鳴き声が減ってきたな、夏も終わりか…」