ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode19 夏祭り【殺】 ( No.52 )
- 日時: 2010/07/08 15:45
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
飛んでくる敵を、神社の境内で7人の魔術師が次々と殺していく。
その冷酷さたるや、殺さずに両手足を消し飛ばす、
精神を壊し、首から下の動きを止めるなど、
殺した方がまだ良いのではないかと思う者が多数倒れている。
しかし、その7人も冷酷なわけではない、
加減する余裕が無いのだ。
敵の数は約1万人、その全てが低級とはいえ魔術師だ。
敵も魔術を使うが為に、苦戦する。
その結果、手早く敵を倒さなくてはならなくなるのだ。
「ねえ、サタン。さっき何話してたの?あの仮面、何者?」
流の意表を突く質問に、サタンの攻撃が鈍る。
「あの仮面の正体は、秋風 翔。お前の知り合いらしいのだが…覚えは無いか?」
秋風…翔?
何処かで聞いた、何だか懐かしい名前だ。
"我々の能力は秋風よりも数段上のはず "
そうだ、あの黒包帯が言っていた!
いや、待てよ、その前に聞いたことが…
「あ゛ー !! 」
そうだ!私とビルから転落しした同級生の名前!
「思い出したか。話の続きをするとだな、自分の居る会社を潰して欲しいそうだ」
自分の居る会社を潰す?
何を考えている?
「アイツの居るのはヘキサリア社だ、政府直轄の研究も行う。その中で、蘇生実験を行っていたらしいのだが、見事に薬が効いて生き返ったのが奴だ」
死者蘇生薬!
本で読んだ。確か、賢者の石を液体化し、
それに不死鳥の血液を加えたものらしい。
「で…その後どうしたの?」
「今はその話は終わりだ、ここをこの後どうするか、それが今の課題」
直ぐにサタンは呪文を唱え始めた。
呪文と共に神社の境内を風が渦を巻く、
その渦が何かを地面に描きながら中心へと向かう!
魔王は、会話を呪文として使える。
会話呪文と言うらしいのだが、
基本的な魔術はもちろん、上級魔法ですらそれで発動できると言う。
前、サタンに会話呪文の使い方を教えてくれと頼んだが、
『魔王の特権だ。教えてもいいが、お前には使えないぞ?』
と返されたことがある。
その会話呪文では発動できない魔術…、
一体どれほどの威力を秘めているのか分からないが、
今言えることは確実に危険!
つむじ風がサタンの足元で消えたのを確認すると、サタンは呪文を止めた。
「伏せて!」
リバーシの声に反応し、全員が伏せる。
その直後だった、サタンを中心に光の刃が境内を駆け巡り、
物と言う物を切り倒す!
あるところでは竜巻のように渦を巻き、
またある所では同じ所を何度も回る…。
「風刃は…如何なるものも切りつくす、直ぐに脱出しろ。ミンチになるぞ?…ククク……ア゛ーッハッハッハ!ホラ、どうした?虫ケラ共がッ!我を殺すのであろう?殺せるものなら殺すがよい!その前に…貴様等が屍となるがなァッ !! 」
いつもは温厚なサタンが…目の前で信じられない冷酷な一面を見せた…、
この出来事は忘れたくとも忘れられないだろう。