ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode21 夏祭り【参】 ( No.54 )
- 日時: 2010/07/10 10:24
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)
ハギラを相手取り早10分、
魔界の王をも圧倒する力で2人を相手に不敵な笑みを漏らす。
その不敵な笑みが何だか鬱陶しい。
「さて、魔界の力をこれ以上地上へと放出するのは勘弁してもらおう。丁度役者も揃ったところでな!」
サタンと流がハギラを挟み撃ちにし、
2方向からの光弾の連弾を避けた所を闇から何者かがハギラを殴り飛ばす!
その者は、なにやらズッシリとした重い足音と共に暗闇から姿を現した。
「連絡通り、…時間に1秒の誤差も無く召集に応じましたが、これでよろしいのですか?」
闇を切り開き現れたそいつは長い金髪を束ね、
全てを威圧するかのような深紅の瞳で周りを見渡した。
「とても良いタイミングだ、レイリー!」
サタンがそいつに声をかける。
どうやら敵ではないらしい、千里先生も、リバーシも安心した様子だが、
どうも忍の様子がおかしい。
その忍を見てレイリーはとんでもない言葉を発した。
「では、奴を倒すにあたり男装趣味の忍さ——…」
「誰が男装趣味だッ!変装といえ、変装と!」
忍の様子だけおかしいのがよく分かった、
忍は…レイリーが嫌いらしい。
だが、戦力としては見ているようで、
攻撃をしようという仕草は見られない。
「レイリーはR-5000というこの世界最強にして最多数の能力を持ち、魔術の全てを吸収する特殊金属で出来た"半"サイボーグだ」
「私の自己紹介はこの戦闘の後で。それからでも十分だと判断しました」
「それもそうだ」
「では、今回の戦闘プランを考えましょう」
そして3秒後、今の3人以外はナオトとミサトを守るので精一杯、
しかし、レイリーの判断はとんでもないものだった。
「忍さんが奴を蹴り上げ、その間は地面から足が離れます。防御能力が低下したそのときを狙うべきです。ただし、リバーシさんの黒魔術使用は止めてください、光弾もです。受け止めて地面へと伸ばせば魔界への門が開けます。それ故、空中での肉弾戦になります、私と忍さんで仕留めましょう。他の皆さんも攻撃してください」
「何で俺とお前なんだよ!」
「貴方は非力ですが、空中で貴方に勝る人は恐らく社長位ですので。それに、私が居た方が仕留める確率が上がりますし」
その言葉は確かに最もだが、失敗した時のリスクも大きい。
私は2人の友達を再び失うこととなるのだから、
どうしても私は慎重になる。
「危険を冒さずして手に入れられるものは小さいのですよ?危険を冒したからこそ手に入れるものも大きい。戦いも同じです。では、お願いします」
「ッたく、貸し1だかんな!」
そういって、しぶしぶ忍は奴へと接近、
見事な運動能力で間合いをつめ、キメラの時にもまして思いっきり蹴り上げる!
飛距離はそれなりに高く、40mといった所。
蹴り上げると同時に飛んでいたレイリーが奴を更に殴り上げる!
恐ろしい高さだ、見た感じではもう高さなど分からない。
「チィッ!」
奴も奴、地上へ戻ろうと重力をとっさに操り一気に降下する!
それをも"計算"していたかのようにレイリーが空中で再び殴り上げる!
そして、殴り上げた先には忍の姿が!
忍の前に来た奴にに、蹴りの連弾が叩き込まれる!
その蹴りは、非力だといわれていたのだが、十分強い。
1撃1撃が必殺技並みの威力を備えた殺人的なものだ。
そして、地面がまじかに迫ったそのとき、
千里の得意技、胴回し回転蹴りという殺人蹴りがリバーシの待つ場所へと吹き飛ばす!
「よしよしよし!では、ブラッディ・レイン!」
……とは言ったものの、リバーシの仕込みナイフによる攻撃が、
周囲に奴の鮮血を舞い上げる!
何かの魔法ではないのか?
……そう、その鮮血こそこの魔術の媒体!
「墜ちろ!」
飛び散った奴の血液が、今度は奴目掛けてとんでもない速さで落ちて行く!
その威力は、マグナムにも引けを取らない危険な物だった。
「よくやった、社員一同。今月の給料は弾むぞ」
サタン…今それ言っちゃダメだよ、
何でこの緊迫した感じの場面を瞬時に気の抜けた場面に作り変えてくれるかな…。