ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Episode23  夏祭り【終】         ( No.62 )
日時: 2010/07/12 14:40
名前: 禰音 鏡幻 ◆kaIJiHXrg2 (ID: cYSZrqDn)

夏祭りが無事終わり、残党狩りが始まった頃。
私は学校のトレーニングルームで実践訓練…ではなく、
ただひたすら、残党狩りで捕まった敵を殺していた。

「ッた…頼む!命だけ…は…」

もう、躊躇などしない、私の中ではまだ祭りは続いているのだ、
人を殺し続けると言う非情で残酷な夏祭りが…。
捕まった敵を順々に並ばせ、前から順に殺していく、
そんな事はついこの間まで出来なかった。
それが出来るようになったのだ、
出来なかった事ができる…、それだけで人は、人間は喜びを覚える。
どれだけ単純な生物なのだろう…、
私は次々と笑いながら敵をただひたすら殺す。

「次、前に来なよ!」

殺していくうちに、魔法のレベルもドンドン上がった。
私が中指で標的を捉え、手前に引くだけで標的となった敵は前に引きずられる。
それを、一瞬で殺す!
しかし、まだやっていない事があった、
魔術教師が…来ない。
敵を祭りの日の内に全て捕らえると言う会社の働きは素晴らしい、
それに答えるために私も捕まえた敵を次々と殺す。
そんな私は、もう人間には戻れないのだろうか…?
ふとそう思ったが矢先、最後の1人を殺した所だった。

「もう、私は人間じゃないんだ…」

私の長い夏祭りはそこで終焉を迎える。



———————————昼の休憩時間———————————

気の沈んだ私が社員食堂へと行くと、
驚いた事にサイボーグのはずのレイリーがビスケットを食べながら紅茶を飲んでいる… !?
馬鹿な!
そうは思いながら私は昼食を買い、席に着くと、レイリーが寄ってきた。
何か不味い事でもしたかな?
そんな考えをよそに私の前に座った。

「流さん、どうしましたか?顔色が悪く脈拍が不安定ですよ?」

たった今人間を数百名殺した所だからなんて、
言えないよ。
言ったとしたらそこまでだ、私は精神的に崩れるだろう。

「やはり、あの訓練方法は無理がありましたか」

どうやら私のやっていた事を知っているらしい、
それを悟らせて言葉を続ける。

「あの方法の提案者は私です。貴方は素晴らしい才能、素質がある。ですが、貴方の唯一の弱点、それが人間性、優しすぎる事です。なので、私は無理な訓練で一気にたたみかけ慣れさせようとしましたが、失敗したようですね。このままあの訓練を続けると貴方がまいってしまうでしょう、社長には話を付けておきます。今日来るヴァムさんにも言っておきますので、人殺しの訓練は以後ありません」

そういって席から離れようとしたレイリーを千里先生が見つけて驚いた表情を浮かべた。

「レイリー…さん?」

「私のことはどの様にでも。何か御用ですか?」

「君…サイボーグでしたよね?」

「ええ、半サイボーグです」

「食べ物食べるの?」

「ええ、一応金属性質の強い生き物の扱いなので。しかし、そうも沢山は必要ありませんが」

そういい、食堂を出た。
それと同時に紫がかった髪の青年が入ってくる、
この会社にあんな人居たかな?
そう思った矢先、流れを見つけ、近寄ってくると、
驚きの言葉を口にした。

「貴方が流れですね?私は貴方の教師をする事になったヴァム・ノクターン。先ほどレイリーから聞きましたが、元々人殺しは無しの授業なので安心していいですよ。学校の体育館で授業を行います、直ぐ来るように」

そう言うと、食堂の窓から外へと飛び降りてしまった。
どうやら、教師はサタンと同じ変わった人種らしい、
その証拠に空を飛んで学校のほうへ行ってしまった。
その直後に…だ、流の方をサタンが掴み、
ものすごい勢いで私の座っている椅子を回すと、楽しそうに喋りだした。

「ヴァムは私より強い、心配は要らないだろう。それに、授業を受けるのはお前1人ではない、ナオトとミサトも一緒だ安心しろ」

そういい、コイツも窓から飛び降りる…。
どうなってるんだよこの会社は!
そんなことを考え体育館へと向かい、
もう少しテーブルマナーと言うやつを身につけるべきだ。
そうブツブツと文句を言いながら流は体育館の扉を開くと、
中から無数の魔物が流目掛けて襲い掛かった!