ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode29 戦闘訓練【戦】 ( No.75 )
- 日時: 2010/07/17 13:11
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)
「ゼナに何するのかな?楽しみだよ」
ゼナはとても陽気に、今にも自分を殺そうとしている相手に友達と喋っているかのように喋りかけてくる。
何でコイツはここまで冷静……いや、マイペースなんだ?
何かまだ私たちに見せていない特殊な力が……?
そんなわけは無い、この性格の奴は大体始めに能力を見せてしまう。
………………固定概念に囚われるな、常識を捨てねば勝てる相手にも勝てない。
私の深層意識がそう言っている。
コイツがまだ見せていない能力があるだろうと言う考えで戦闘に臨まなくては……!
「見せてあげるよ、私の策をね!」
全身に行渡っている魔力を腕に集中し、そのままゼナをぶん殴る!
「ひょいっと」
パワーがあってもスピードが足りない、どれだけ強い武器でも当たらなくてはただのお荷物だ。
考えろ、早い相手に攻撃を当てる方法を!
「ダメだね、もう少し速く攻撃してこないとゼナには当たらないよ」
ゼナの落ち着いた口調が流の頭を冷やす。
さっきまで遊んでいる子供の様な口調だった、今の口調は紛れも無く相手を確実にしとめようとしている暗殺者のゼナと取るべきだろう。
「そうだね、もう少し速くなれば……!」
今度は足に集中し強化、そのまま突っ込み足から腕に操作しそのまま打撃を放つ!
放った打撃はゼナの真後ろに有った巨木に直撃、音を立てて周囲の木々をなぎ倒し視界がよくなった。
丁度雨も止んできた様だ。
「うぅ〜ん、この打撃の威力は文句なしの100点。正確さ、スピードを言えば2点かな。じゃあ、今度はゼナの番?いっくよォ!」
ゼナはコートを脱いだだけでそのまま突っ込んでくる!
高々コート、雨がしみこんで重くなっていた程度だろう、大して早くは——…。
そんな考えを覆すかのように突っ込んできたゼナは……速い……!
10m近い間合いを、十分今までに見た速さに対応できる間合いを、私の反応が追いつかない速さで !?
何とかカウンターの蹴りを合わせるが、その蹴りを放った足を利用し私を投げ飛ばした !?
投げ飛ばされて飛ぶ飛ぶ、50mくらい飛んでないか?
投げられた先は鋭利な煙水晶の棘!避けないと!
「エアーバインド!」
硬質空気の網で止める!
あれ?今私は何をした?私自身が私自身の魔法で動いた、つまり私が魔法を使って動けばいいのか。
そうすれば吸収されようが関係ない、私のスピードが格段に上がる!
そういえば、何故コートを脱いだだけで奴のスピードが格段に上がった?
「まだ降参しないの?ゼナはもう殺すの我慢できないよ〜!」
「まだ……まだ!何としても君には勝たないと、私は弱いままだ!翔を止められないからね!」
「ふぅん。じゃあ、死んでも文句言わないでよ?」
ゼナが落ち着き払って今までに無いほど冷めた口調で言う、今から本気で私を殺りに来るだろう。
「死んだら文句、言えないでしょ?」