ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode34 戦闘訓練【武】 ( No.83 )
- 日時: 2010/07/21 11:24
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)
ゼナは小ばかにするように軽く笑うと、今度は挨拶無し、手加減無しで戦闘を開始する。
凄まじい速さに加え、圧倒的なパワーを兼ね備えた武術はもはや一撃必殺、避けた流とナオトの直ぐ後ろにあった巨木をいとも容易く粉砕した。
「君の力はまだこんな物では無いでしょ?もっとゼナを楽しませてよ!」
どうやらゼナは流1人にターゲットを絞ったらしい、殺人的な威力の拳が叩き込まれる!
それを何とか紙一重で避けるが流の体力は殆ど残っていない、反撃が出来ない上、反撃する隙すら無い!
相手は明らかにスピード、パワーは流よりも明らかに高い。
その上、戦闘経験は明らかに相手が上、しかもその差は非を見るより明らかだ。
「楽しませてよ! さあさあさあさあさあさあ!……本気出す前に殺しちゃうよ !? 」
その言葉に反応するかのように残り少ない体力で反撃を試みようとした直後、突然目の前の空間が割れ、ヴァムが出現しゼナを止めた。
ヴァムの口調は、キャンプ終了ではなく、別の用件で、しかも重大な事であろう重々しい口調だった。
「3人とも、時の横断幕本社が制圧された、奪還しますよ」
まさか!本社が制圧された !?
あのもの凄いセキュリティーを兼ね備えたビルが !?
「チョット持ってよ! あのビルが制圧された?嘘でしょ !?」
いきなりゼナが興奮状態から瞬時に我に返るとヴァムの胸倉を掴み上げ巨木に叩き付けた。
ゼナの顔は般若のような形相だ。
「言った言葉の通り、制圧されました。サタンの命令では、爆破しろとのことですよ」
その言葉を聴いて、ゼナは空間を丸く割り、恐らく本社へと飛んでいってしまった。
「私たちも行きますよ!」
体力は限界ギリギリ、少しくらいは敵を倒せるだろうが、殺されるのは目に見えている。
そんな流達を見て、ヴァムは3人の首を掴み、持ち上げた。
「この手負いが3人、奪還に向かった所で死ぬのは見えている。そんな生徒を向かわせるわけには行かないが……、仕方ないですね。止めても無理して向かいそうだ。ただし、1時間の休息の後向かってください、この森の中での魔力回復量は素晴らしいものです、1時間あれば恐らく全快までは行かないでしょうが、今よりはかなりマシになるはずですよ」
その言葉通り、私たちは1時間その森の中で休息をとった。
————ほぼ同時刻・ヘキサリア本社————
戦いの神を名乗った青年が、あの秋風に圧倒されている、神をもひれ伏せさせるこの力、明らかに流れが最初に戦った時よりも強くなっている上、レベルアップの速さは正に異常値だった。
戦闘開始直後は、明らかにアレスが圧倒的に強かったが、仲間の助けも無く秋風1人で状況をひっくり返したのだ。
「何だ……この程度か、……戦いの神って奴は……よォ。……まった……く………拍子抜け……だ……な……ァ」
明らかに秋風自身もとても凄いダメージを受けている事は確かだが、アレスと言う青年の戦闘能力はサタンに匹敵する物だ。
明らかに時の横断幕サイドの戦力はガタ落ちした上に、相手はガタ落ちした分に匹敵する戦闘能力を手に入れてしまった、これでは分が悪い。
「フン……悪かったな。でもまだ戦闘は終ってねぇぜ?」
瀕死のアレスが立ち上がった。
それと同時に秋風の傷が瞬時にふさがると、再び臨戦態勢へと移る。
「……ふぅん、神って奴は一筋縄ではいかないみたいだな」