ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Episode36 実戦【始】 ( No.87 )
- 日時: 2010/09/02 17:37
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
どうやら、空間を飛び越えるのを失敗したらしい。
私の目の前に今、翔が屍を踏み越えてゆっくりと歩み寄ってきている。
どうやら、私を殺すつもりらしい、手元で電撃が唸っていた。
「翔、アレスを殺したってホント?」
その問いに、翔は高笑いしながら答える。
「クックック……。ご名答、いかにも俺がぶっ殺した! 次は流、お前の番だ!」
その言葉と同時に電撃が放たれるが、流はそれを軽く避ける。
電撃に対しては電撃で対抗するのが一番で、命令をすでに持たせた電流が流の体内を巡っていた。
命令内容は、『翔の攻撃が来たら無理にでも避けろ』と言う物で、電撃だけではなくその他何通りもの攻撃に対しての回避命令でもある。
ただ、逆を返せば電撃に一度あたればその命令は解け、発動しなくなるのだ。
そう、これは賭けだ。
「考えたな、だが電撃の方が断然……」
翔の手から今までに無いような速さでの雷が流を襲った。
「速い。肉体の稼動速度の限界に比べれば電撃の方が速いのは当たり前だろ?」
確かに、それは当たり前で、限界はどうしようもないが、まだ奥の手はある。
「だから、どうしたの? 私はまだ感電しちゃいない」
その言葉を聴き、実際に平然と起き上がってきた流を翔は呆れたかのように眺め、言い放った。
「そうか、電流をわざと流したな。そのまま地面へ返せば内臓へのダメージは皆無だ。チョット分が悪いし、俺は撤退!」
その言葉を言いきる前に、翔はビルに穴を開け、下のフロアへと逃げた。
その頃、屋上ではサタンが銀髪の男と睨み合い、隙を探っていた。
どうも、敵のリーダーで、かなり魔術、格闘技能は高いらしく、あのサタンが苦戦を強いられているのが見て取れる。
しかし、それもそこまでだった。
「あきらめろ、ルシファー。 この十字架がある限り、俺に攻撃が通用すると思うな」
その男は、変わった装飾の施された十字架のペンダントを首に下げていた。
それがサタンの攻撃を無効化しているらしく、鎌での攻撃も、魔法での攻撃も意味を成さず、直前で消滅していた。
それもなお、サタンは攻撃を続けていた。
「舐めるな、人間風情が……!」
その言葉と同時に、サタンは巨大な黒い龍と化し、飛び上がった。
何をするつもりかといえば、死ぬほど簡単、巨大で硬い翼で、屋上を切り落とし地面へとそいつを叩きつける間接攻撃!
サタンが旋回し、ビルを翼で切り倒す瞬間に、流は翔が逃げた下のフロアへと飛び降りた。
そして、轟音を轟かせ切り倒され、街中での戦争は更に激しさを増した。
サタンの切り倒したフロアは、先ほどまで流が居たフロアだった。
「サタンさんですか、つくづく私も運がいいね」