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Episode40  殺し合う『ふたり』 ( No.92 )
日時: 2010/09/20 10:59
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

間違いない、あの時の翔の台詞だ。
この後、私は死ぬ。
そんな事が見て取れるが、どうも記憶とは違うところが数箇所あった。
一つ目、魔法が使える。二つ目、何故殺しあっていたのかを覚えている。

「もう、止めようよ。翔君、君を殺したくない、この後私たちはこのビルから落ちて死ぬんだよ」

その言葉に翔は目を見開いた。
まるで、その事を知っているかのような表情へと変わっていく。

「何故……! 何故それを知っている !?」

そんな事分かる分けない、

「私達は未来で死んだから、ここに戻されたんだよ。多分——…」

「その扉の影の男にか?」

流の言葉を途中でさえぎると、翔はここまで来たときに通った扉の方を指差しにらみつけた。
そこにいたのは……ヴァム !?

「何故……? 貴方がここに !?」

流の口から思わず言葉が漏れる。

「何故って、サタンに面倒を見るように頼まれていますからね。途中では投げ出せませんよ」

その言葉とともに、ヴァムの手元が青白い電撃で彩られる。
左手の指の間にパチンコだまをセットし、

「人間は銃が好きでしたよね? 銃で葬ってあげましょう、少し進みすぎた銃ですけど」

その中指を翔へと向けた。
右手が弓を射るかのごとく電撃を引く。

「れ……レールガンかよ、趣味わりぃな」

翔は驚く前に、迎え撃つ体勢には入っていた。
全身から真っ黒い電撃を放電する!

「面白れぇ、受けてたってやるよ!」

「……死にますよ」

その会話の直後、電撃を帯びたパチンコ球が目にも留まらぬ速さで翔の心臓へと突っ込んだ。
ぐらりと体が傾く……。