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Episode42  現状打破 ( No.97 )
日時: 2010/10/23 10:19
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

両者、睨み合い動かない。
どうしようにも隙すらない、完全な迎撃体制で動ける方が可笑しい。
だが、その隙は直ぐに壊れる物だ。
少年の銃が偽者へと向けられる。
だが、撃ち込んでも弾かれるか避けられるかして終わりだろう。
私はこの場では無力に等しい、あの少年だって同じ事。
今は、無力なんだ。

「このまま硬直状態を続けるつもりですか? 私に化けていた割には大胆さに掛けますね」

ヴァムは大胆にも歩いて偽者との距離をつめる!
確かに、偽者側は大胆さに掛けて慎重だと言えるわけでもないが、本物に比べると確かに大きな違いだ。

「成るほど、ヴァム・ノクターンか。本物に会えて光栄だ、だがその本物も、偽者に劣ったら偽者だろう?」

「口だけは達者ですね、私たち魔術師は何処で相手の強さを判断しますか?」

魔力の容量、だろ?」

「ご名答、その魔力量すら私には届いていないではないですか。魔力を数値化して1でも差があればとてつもない力の差ですよ?」

そう、魔力の量だ。
この睨み合っている2人は圧倒的。
だが、偽者はヴァムに届かない。
まだヴァムは言葉を続ける。

「貴方は自らの魔力内容量を理解していませんね、魔術はそうたいした物を使えそうに無い。なのに何故、サタンを葬れたのですか?」

「さあな、答える義理はねぇ」

ヴァムを無視し、そいつはその場で煙幕を使い、全員を煙に巻こうとしたのだろう。
その時だった。

“ヴォォォオオォン”

と言う唸り声を上げて、無数の大型バイクがそいつに体当たりした。
何事かと流はバイクをにらむが、バイクに人は乗っていない。

「童子、大丈夫か? 一人で殴りこみなんてするもんじゃねえぞ?」

「桐嶋に同じだ。死にたかったのか?馬鹿が」

どうやら、少年側の仲間らしい。
だが、あの余裕はこの状況が理解できてなど居ない!

「あの人、危険だよ?」

少年の仲間であろう少女が偽ヴァムを指差すと、

「そんな事分かってるって、やからワイらが来たんやろ? 有島ちゃん」

どうやらリーダーらしき男が背負ってきた大きなかばんを漁り、中から誰もが予想だにしなかった物を取り出した。

「今回はマジであかん、バズーカで吹っ飛ばすで」

……そんなもの、使えない。