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Re: 題名募集中! オリキャラ募集中! ( No.10 )
日時: 2010/06/25 20:29
名前: 亜倉歌樹 (ID: EE/vzbC4)

「うぐっ…!」

 ワイシャツはボタンを全て付けている。
 そのせいもあって、首を絞められるのと同じ状況だっただろう。
 シオはその様子を見て溜息を吐き、ぱっと手を放す。そのままジュイは地面に崩れ、乾いた咳を何度か繰り返す。
手で押さえていた。それにも血が混じっている。
 その手を隠しながら、ジュイはシオを見上げた。

「ケホッ。お前自身もカラスも変だけどさ。その紅い目! なんだよそれ? カラコン? それに睨まれた
せいでずっとだるかったんだよ」

 ジュイは言葉をまき散らすように問う。
 シオは先ほどより深く溜息を吐き、ジュイの肩を掴んで起き上がらせ、ブロック塀に叩きつけた。

「質問には答えない。その代わりと言ってもなんだが、面白い事を教えてやろう」
「面白い、事?」

 背中が痛いジュイだったが、それに関しては興味があった。

「お前、縁桐といったな? すでにお前は気づいているはずだ。前世と、前世の『死相』を」

 その言葉にはっとした。

(『死相』!)

 ジュイの見る夢に、時々事故の後の、被害者の意識の時がある。
 自分の思っている言葉で、そこの部分がぼやけて聞こえていたため分からなかった。

——だったらせめて、「死相」だけでも、決めさせてくれよ——。

「お前の様な奴らには、前世に罪がある。殺人はもちろんのこと、恐喝、誘惑、絶望、騙し。あたしの罪
は、『諦め』」
「俺が、罪を? 一体なんの罪なんだ?」
「あたしに聞くな。夢を見るだろう。そこに罪がある」

 紅い目が、見開いた。
 強く握っていた肩を放し、後ろを振り向いた。

「どうか、したのか」

 じりじりとした肩の痛みを手でおさえて緩和させながら、ジュイは尋ねた。

「あたしらのことを、あたしらはじぶんで『罪人』(シンナー)と呼んでる。罪を洗い流すために、
罪人は仕事をするんだ」
「仕事?」
「罪を背負っても反省を見せず、地獄での裁きから逃れた愚か者、『獄罪逃れ』(ファールト)を地獄に
送り返す事」