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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 題名募集中! オリキャラ募集中! ( No.3 )
- 日時: 2010/06/21 21:11
- 名前: 亜倉歌樹 (ID: lOah4y4E)
少年は学校へ行くため、家を出た。
少し歩くと、知っている顔がなぜか電柱から出てきた。癖っ毛の長い髪が揺れる。
「おはよーございます、縁桐樹衣(エンドウジュイ)君。ってあれ? なんか顔色悪いね」
出てきたのはジュイと呼ばれた少年の、小学生からの馴染み大菅庵(オオスガイオリ)だ。
「まあ。ちょっと、な」
「ま、いいけどさ。入学式でもダラダラした格好かと思ったけど。なーんだ、きっちり制服着てんじゃん」
「うるせー」
狭い住宅街の道を歩きながら、二人はいつものような他愛ない会話をする。
ジュイは、仲の良いイオリに心配をしてもらうのは嫌だった。
同じ内容の悪夢、吐く血、そして、ある「記憶」。
心配してほしくなかった。
「知ってる? 結華(イオリの友達)から聞いたんだけど、今日転入生が来るんだってー」
ジュイは溜息を一つ。
「転入生ねぇ。馴染む気にはなれないなー」
「男の子だか女の子だかは知らないけど、なんかきっつい性格らしいよ?」
さらに深い溜息を吐いた。
「もっと馴染む気になれない」
その言動に対してか、イオリはムスッとした顔になる。
「ジュイさー。もっと人に好かれたいって思わないの?」
ピクッと顔を強張らせ、ジュイは止まった。
それに応じてイオリも止まる。
「人を、…じゃなかった。人が…怖いんだ。なんというか、自分を騙して利用するんじゃないか…とか。
騙されたのを分かった瞬間、その場から逃げだして、誰もいないところに行きたいって、思うんだ」
顔が俯き、暗い印象を与えるその姿に、イオリは攻め立てるのを止めた。
「そっか」
イオリはジュイの手を取り、走り出した。唐突な行動だったため、ジュイはうおっと言ってしまった。
「早くしないと遅れんぞ! ほら、いっそげえ!」
「ちょ、と。ま、待てよ!」
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