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Re: 題名決定!狂飾メモリー でもオリキャラ募集中! ( No.31 )
日時: 2010/06/27 06:04
名前: 亜倉歌樹 (ID: EE/vzbC4)

 わけがわからない。
 なんで俺はこんなわけのわからないことに巻き込まれているんだ?
 そもそも稲木はなぜこいつと堂々戦っている?
 こいつはなんだ、化け物か?

 ジュイは混乱していた。
 全てを理論と常識で考えてみても結びつかない事実と事実。

「そちらが来ないのなら、こちらから行かせてもらうぞ?」

 シオが不敵な笑みで突進した。
 札の男は手を斧のように変形させ、突きを回避し、そのまま振りかぶって縦斬りを食らわす。
 それをなんなく避けたシオは、突きを連続して浴びせる。
 こんな戦いがどれくらい続いただろう。
 札の男が息切れをし、止まった。

「ふん、ここまでだ」

 シオは飛びあがり、突きでとどめを刺そうとした。
 その時。

〈ソレハ、ドウダカナ?〉

 ドッ!!

「うっ!?」

 シオが血を吐き、剣を落とす。札の男がゲラゲラと笑った。


 シオの腹に、手が変形した斧が刺さっている。


「稲木っ!?」

 ジュイは叫んだ。
 何もできないのに立ちあがり、駆け寄ろうとした。

「来るな!」

 シオの言葉で足が止まる。
 シオは口から出る紅を手で拭い、札の男を蹴り飛ばして距離を取る。
 当然のこと斧は抜け、そこから大量の鮮血が溢れる。

「い、稲木…!」
「安心しろ、罪人はこれくらいでは死なん。…まあ、瀕死にはなるが、な」

 シオは腹の傷のせいか、その場に崩れる。やはり我慢できず、ジュイはシオに駆け寄った。

「馬鹿か…お前は罪人でも、まだ、覚醒していない。戦えない戦士は…此処にいらない」
「でも…」

 ジュイはとある場所を見る。
 札の男が不気味な声で笑いながら、こちらへやってくる。足取りは非常にユラユラとしていて遅く見えた
が、ジュイはそれが、どんどん迫ってくる恐怖に歯をガチガチと鳴らした。怖くて怖くて、仕方ない。

(戦わせて…くれよ)

 二人の元に、札の男が歩いてくる。世露は遠い場所にある。取ってくることはできない。

(守らせて…くれよ…!)





「臆病」な自分を認めるから。