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Re: ━ESP━『エスパー』30話うp♪ ( No.112 )
日時: 2010/07/13 20:09
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

31【エリゴス卿】


11階 社員オフィス


この日は休暇日だったので、この階には人気がなく閑散としていた。
「はずれ引いたか?」
アモンは東を突き落とした後、10階から11階に移動していた。
しかし、誰もいないことを知ると残念な表情を見せる。
「まっ!俺の任務は別だからいいか!!」
アモンは謎の言葉を呟き、笑顔で足を進めた時だった。


「ん?」


廊下の角から、冥堂が突然現れ2人は鉢合せという状況になった。
冥堂はアモンを見ると目つきを変え、戦闘態勢にはいる。
「貴様も敵か?」
「あー・・・・そうだな。敵だよ、あんた社長か?」
「そうだ。東京支部の社長、冥堂龍之介。会社と仲間のためにお前を殺す。」
「老人に何かできんのか?」
アモンは鼻で笑い、呆れた顔になる。
その瞬間、アモンの目の前から冥堂が消えた。
「あ?」


「誰に笑ってるのかね?」


アモンが後ろを振り向くと、冥堂はいつの間にか後ろに立っている。
しかし、アモンは驚きもせず、冷静に何度か頷く。
「瞬間移動か・・・社長さんも所詮はその程度の力か・・・・」
「否・・・私の能力は瞬間移動ではない!!!」
冥堂が語尾を強く言い、その瞬間に冥堂の体から眩しい光が発光する。
さすがのアモンもこれには一瞬戸惑い、すぐ様後ろに下がる。
「瞬間移動じゃない・・・・?」
「私の能力は、光になることだ。」
冥堂はそう言うと、上半身だけを光に変え、そのままアモンの前に実体化し現れた。
「ボディチェンジ‘ホーリーアップ’」
冥堂は左掌からフラッシュを出す。
アモンは突飛な攻撃に目が眩み、その場でバランスを久慈多。
「まだまだひよっこだね〜ぇ。」
社長は元の姿に戻ると、腰からスタンガンを取り出してアモンの首元につけた。
「うっ・・・・・」

バタッ!

アモンは一瞬で気絶し、その場に倒れる。
冥堂は安堵の息を漏らすと、アモンをもう一度見た。
「まったく、老人にあまり無茶をさせんでおくれ。ただでさえ久しぶりの戦闘だったのだから。」
アモンは時折唸り声をあげるが、当分は目を覚まさないだろう。
冥堂がアモンの元を離れようとしたその時だった。


「アモンまでもが・・・・情けない・・・・」


冥堂は突然の声に驚き、後ろを振り向いた。
すると、アモンの横に酸素マスクの様なものを口に付け、髪が腕まである初老がしゃがみ込んでいた。
気配はなかった。声を聞いた瞬間、冥堂は存在に気付いたのだ。
「お前も、敵か?」
「ん?敵は敵だが、若干違うな。」
エリゴス卿はそう言うと、立ち上がって冥堂の目をじっと見つめる。

「ほう・・・両親は3歳の頃に病死。君は悲痛な人生を送ったらしいな。」

エリゴス卿の言葉に、冥堂は顔色を変え冷や汗を見せ始めた。
「なぜ・・・・知っている・・・・。」
「見えるのだよ。私は見た物体の過去・現状・未来が見えるのだ。」
エリゴス卿はアモンを見ると不気味に微笑む。
「彼は、親にすてられ、いじめに遭い、奴隷扱いされた人生だった。しかし、変わることができた。それはなぜか分かるか?我々が救済しているからだよ。」
エリゴス卿は窓から青い空を見ると、両手を太陽に伸ばす。
「我々の目的は、救済をしなかった者たちへの復讐。つまり、世界へ復讐するのが目的なのだ。」
冥堂はエリゴス卿の言葉を聞くと、一つの疑問点が思い浮かんだ。
「それなら、なぜこの会社を攻撃する必要がある?」
「我々の目的を達成するためには、3つの段階がある。第1段階は東京を占拠すること。しかし、能力者の貴様らが邪魔だから、ここを攻撃することにした。」
「結構なことに巻き込んでくれましたね・・・・」
冥堂は笑顔で言うが、心の底から怒るギリギリのラインにいる。
善人を巻き込み、悪事を働く者が一番許せないのだ。
冥堂は攻撃体勢に入るが、エリゴス卿は腰から小刀を手に取り、首を横に振る。
「やめたまえ。君の攻撃は見えている。私は未来も見ることができる。それなら、不意を突けば社長であれとも瞬殺できるぞ。」
エリゴス卿の言葉で、冥堂は体勢を元に戻す。
「・・・・貴様、必ずその計画は止めて見せる。」
「できるものならな。さらばだ・・・」
エリゴス卿は後ろを振り向くと、そのまま歩き去って行った。
冥堂はこの時、ある予感を考えていた。

クライムの時とは違う________




嫌な空気を感じた________





冥堂は振り返ると、1階へと目指したのだった。