ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ━ESP━『エスパー』31話うp♪ ( No.120 )
日時: 2010/07/16 16:00
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

32【応援】

「うっ・・・・・」
赤茶色の土の上、三郎は両手を失い花壇の上で倒れていた。
切断部分から溢れだす血は、すでに致死量を超えている。
「俺・・・・死ぬのか・・・・」
三郎は自分の力の無さに愚かさを感じ、目から涙を流す。
最早、生きる希望を失くしていた。助かる見込みはないだろう。
「天馬、算介、亜樹・・・・すまない・・・・・」
三郎はそう言うと、静かに目を閉じて死を待とうとした。
その時だった。


「マルコ社長!!あそこです!!」


「だから、マルコスって呼べよ。」


三郎の耳に聞こえる微かな声。
しかし、三郎はその声を最後に意識を失った。


**********


屋上


「はぁはぁ・・・・」
円、紅夜は刀を手に持ち、今にも倒れる寸前まで体力を使い果たした。
「もうおしまいか?所詮は下等な能力者だったな。」
アガレスは両手から紅蓮の炎を出し、2人に向ける。
2人は能力を使う力もなく、ただ攻撃を真正面から受け止めるしかない。
「さらばだ・・・・」
アガレスの言葉と同時に、灼熱の炎が2人に襲いかかる。
その時だった。

「餓鬼は引っ込んでろ!!!」

アガレスの後ろから、回し蹴りをしながら荒井が現れる。
そして、上空には1台のヘリコプターが雲の中から姿を現した。
「とう!!」
「大丈夫ですか!!」
ヘリの中から、千葉支部の制服を着た男女が降りて、円と紅夜に駆け寄る。
「草屋さん・・・・」
円は自分の目の前に立つ草屋正志を見ると、安堵の息を漏らして地面に座りこんだ。
「ここからは我々にお任せしてください。あなた方は、少し休んでいて結構です。」
草屋はそう言うと、腰から拳銃2丁を取り出す。
「紅夜も休んでて。私と草屋、それに荒井先輩に任せればいいから」
千葉支部の社員である工藤涙香は紅夜にそう言うと、背中から純白の羽を生やし、頭の上に光輪が浮かぶ。
その姿はまさに、天使といっても大げさではない。
「千葉支部・・・・なぜ、応援が?」
アガレスは千葉支部が突然来たことに疑問を抱く。
「東副社長から電話があったんだ。それで、駆けつけたのさ。」
草屋は銃を構え、アガレスのすぐそばにいる荒井は戦闘態勢にはいる。
「面倒だな・・・・しょうがない・・・・・」




「ボディチェンジ‘DESU’」




***********


1階 エントランス受付


冥堂が1階に着くと、そこには千葉支部の社長であるマルコス・ライサンダーと東がいた。
「マルコス!!」
「冥堂、大丈夫か!?」
マルコは冥堂と握手をすると、怪我をしていないか確認する。
「会社はやばいな・・・。私の部下が幻術で一般市民から隠しているが、そう長くは持たないぞ。」
「そうか・・・・ん?」
冥堂は東の足もとに倒れている三郎を見ると、驚いた表情に変わった。
「彼はかなり危なかった。もう少し私の治癒能力が間に合わなかったら、たぶん死んでいただろう。何せ、両手を失っていたからな。」
「なに!?」
冥堂はその言葉を聞き、急いで三郎に駆け寄った。
三郎は顔色も良くなり、呼吸も整っている。しかし、表情は悲しそうな顔だった。
「くそ・・・・」
冥堂は拳に力を込め怒りを抑え込む。
「冥堂、上に行かなくていいのか?社員達を助けに行かないと・・・・」
「あぁ。だが、社員じゃない。仲間を助けに行くのだ。」
冥堂はマルコと顔を合わせると、マルコは東に三郎を頼んで上へと向かった。


2人が行くのを確認した東は、不気味な笑みを浮かべて違う人物に姿を変えた。
「まったく・・・俺も危なかったな・・・・」
東の姿から、突如マルバスに変化した。
マルバスは死ぬ間際に東に変化し、瀕死の状態になりながらも奇跡的にマルコに助けられたのだ。
「さてと、それじゃ・・・仕返しを・・・・」
マルバスは腰から拳銃を取り出し、気絶している三郎に向ける。
「さようなら。せっかく生き返ったのにな。」



バン!!!