ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━ESP━『エスパー』32話うp♪ ( No.121 )
- 日時: 2010/07/16 20:34
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
33【会社崩壊】
屋上
「ヴァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
雄叫びを上げ、アガレスの体は紅蓮の灼熱に包みこまれて行く。
傍にいた荒井は、勢いで設置されてある給水タンクに叩きつけられた。
「退避だ!!離れろ!!!」
草屋の言葉で、周りにいた全員はアガレスから離れ始める。
涙香は円と紅夜を掴み、背中から生えた純白の羽力で持ち上げ、そのまま遠くへ離れる。
「これが・・・・俺のボディチェンジ・・・・」
アガレスは両手を胸でクロスさせ、そのままの状態で力を込める。
「この力こそ・・・・貴様らをDESUする力・・・」
アガレスの顔は炎で出来た髑髏の仮面、体は炎の衣で包まれ、その姿は悪魔のような姿だ。
荒井は給水タンクを伝いながら立ち上がると、アガレスの姿を見て呆然とする。
「強そうだな・・・・・ちくしょうが・・・・」
荒井は煙草を咥え火をつける。
「このまま会社を破壊してやろう。」
アガレスはそう言うと、背中から紅蓮の炎で出来た羽を生やし、そのまま上空へと飛びあがる。
「やばい!!全員逃げろ!!!!」
草屋は屋上にいる能力者に大声で叫ぶ。
だが、その声は助けの意味も何もなかった。
「ファイヤーエンド」
アガレスの口前に、直径10メートルほどの炎の球が出来上がる。
そして、アガレスは躊躇うことなくその巨大な炎の球を会社に発射した。
「な!?」
屋上にいた全員は目の前に迫る炎の球にどうすることもできず、その場で思わず立ち止まる。
「逃げれ・・・・ない・・・・・・」
草屋がつぶやいた瞬間、炎の球は会社に衝突。
そして、一瞬にして会社は炎の球の中へと飲み込まれた。
──────
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
轟音と共に崩れる会社、空中に舞うデスクや書類の夥しい数が現実を見せ付ける。
そして、瓦礫と共に屋上にいたメンバーが落下してきた。
円、紅夜、涙香、草屋、荒井は気絶した状態で地上まで落下していく。
「あそこだ!!全員救出しろ!!!」
瓦礫の上を慣れたようにジャンプしながら、冥堂、亜樹、マルコ、負傷した篠左記が落下していくメンバーに手を伸ばした。
「全員、救出したら会社から退却。すぐにこの場を離れろ!!」
冥堂の言葉に、3人は頷く。落下していくメンバーを捕まえると、そのまま会社から離れた。
**********
「すげー」
シャックスはエリゴス卿と共に、崩れゆく東京支部‘アビリティ’会社を見つめていた。
「ふむ・・・・これで、当分はなにもできないだろう。」
「でもさ、大丈夫なの?バエルさんはこのこと知ってる?」
「知らないさ。彼は、あまり『こちら』に興味がないのだ。」
エリゴス卿はそう言うと、口に付けていた酸素マスクを外して地面にすてた。
さらに、フードをめくり上げた。
「私も、これから忙しくなしそうだ。」
エリゴス卿はシャックスを見る。シャックスは笑顔になると、エリゴス卿の背中に飛び乗った。
「それじゃ、第2段階の準備にいこー♪」
シャックスはそう言うと、エリゴス卿と共にそのまま歩き去って行った。
**********
そして、崩れゆく会社を見ていたのはシャックス達だけではなかった。
「あらあら・・・・監視任務もパァーですね。」
首に十字架のネックレスを付け、髪を白染めた天然パーマの青年はそうつぶやく。
「仕方ないわ。規律で手助けできないし、一応最後まで見るわよ。」
青年の横にいるスタイルの良い体で、瞳が青色の女性は言った。
青年はため息をつくと、崩れゆく会社をもう一度見つめる。
「せっかく、アメリカ本部から来たのに・・・・」
「トイ・ライト、今のは問題発言よ。」
青年、トイ・ライトはその言葉を聞くと嫌な表情を作る。
「うそ・・・・」
テレサ・パーシーはトイの言い訳も無視し、そのまま歩いて行く。
トイは大慌てで後を追うように、テレサの後をついて行った。